Ⅲ. 連れ去ってもらいたいくらい

 セーライと一緒にいられるのが、たった1週間だけなんて、耐えられない!

 いっそ、クレリア星に戻る時に、私を連れ去ってくれたらいいのに!


 そんな想いさえも、何度も頭をよぎる。

 

 その度に、両親や友達の哀しむ顔が浮かんで来て、その気持ちはかき消される。


「それは、極めて自然な事だよ、星来」


 セーライが私の心を読んで答えた。


「この世で私が一番大好きなのは、セーライなの! セーライと一緒にいられるなら、他の全てを失ってもいいの!」


「ありがとう、星来。でも、残念ながら、君を連れて戻る事は出来ないんだ」


 セーライの美しい蒼い瞳に、憂いの色。 

 

「どうして? クレリア星の進んだ文明だったら、容易い事でしょう?」


 地球よりも700年も進化した文明星ならば、星間旅行や星間結婚だって、難無く出来ると思えるのに......


「地球人の身体を持つ君達は、クレリア星では適応出来ず、生存は不可能なんだ」


「何か特殊な装置を付けて、生存している事は出来ない?」


 宇宙飛行士が来ているようなのを身にまとって、酸素を背負ってなら大丈夫なのでは......?


「それは可能だよ。ただ、そんな不自由な生き方を星来にしてもらいたくない」


 確かに......四六時中そんな重装備をしているのは、食事や排泄も大変そうだし、お風呂も入れない。


「セーライと一緒にいられるなら、不便でも頑張れるよ、私!」


 そう言っても、セーライは首を縦に振ってはくれなかった。


 切ない時間が流れる......


 セーライと一緒にいる時くらい、こんな気持ちにさせられたくないのに......


「星来には、この星で素晴らしい人と巡り会って、ずっと幸せに暮らしてもらいたいんだ」


 セーライの願いは嬉しいけど、それは、セーライとは一緒に生きていく事が絶対無理だという宣告って知らされたようで、哀しくなる。

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