第9話 深淵の中の光
何が起こったのか分からなかった。
目の前にいるのは強面の男。
「え?い、、生きてる、、、え、何が起こったの?」
いまだに状況の把握が出来ない俺の言葉に強面の男は、表情が怖くなり、怒声を浴びせてきた。
「てめえ!!!ふざけんじゃねえぞ!!!もうちょっとで死ぬ所だったんだぞ!!!」
「ひ、、、ひいっ」
「まあ、助かってよかった。」
強面の男が、瞬時に柔和の笑顔になって、ほっとため息をつく。
俺は、おそるおそる何が起こったのか聞いた所、俺が踏切に飛び込もうとした直前に強面の男が急いで俺の横っ腹を蹴っ飛ばしたらしい。
そこまで、飛ぶとは…そういや、めちゃくちゃ横っ腹が痛い…
強面の男が不思議そうな顔で訪ねてきた。
「なんで死のうと思ったんだ?」
「えと、あのう、実は…」
俺は、初対面の強面の男に自殺しようとした経緯を話した。
それを聞いた強面の男は、うんうんとうなづいて聞いてくれた。
俺が話し終わった後に、強面の男は俺の肩をポンと叩いて笑顔で言ってくれた。
「俺には、お前が必要だ!どうせ、捨てる命だったんだろ?なら、死んだつもりで最後に俺の力になってくれないか」
俺の深々と覆われた深淵に一筋の光が差した。
そうだ。俺をまだ、必要としてくれてる人がいる。
たった、その一つの事実だけで生きる希望が湧いて来た。
「はい!!」
力強く強面の男に返事を返した。
俺は、この人について行くと決めた。
例え、それが、悪魔の道だろうとも…
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