第18話 馬車道
*シュウ視点のお話です。
「遅ぇ!おいもっとスピード上げろ!」
「無理です!これが馬車の限界です!」
「チッ、使えねえなぁ!俺の命かかってんのわかってる?三歩歩いたら忘れるロックバードなの?」
大急ぎで出発してからというものの情けない小隊長の叫びを聞き続けて俺は怒涛の勢いでいらだちをつのらせていた。
集団で移動するのが楽で速いってんだからわざわざ街道を馬車で進んでるってのに追いつけないなんてなれば元も子もない。それなのに安全性を考慮して走らせるだと?馬鹿を通り越して頭の中ゴミしかつまってないだろ。
馬車ごと押してやることも考えたが面倒くさいのでやめた。そもそもなんでレン一人にこんな大人数を出動させたんだよ。少人数でさくっとやってさくっと帰ってくればいいのに。
「あ、あのシュウ様。伝令から報告があがっております」
俺の顔色をうかがっておどおどしてるのがいらつく。さっさと内容話せ。
「何?」
「み、南のドニ川に負傷した斥候が2名倒れているのが発見され、東の森に魔素濃度が異常に低下している箇所が新たに発見されたのですが、」
「斥候は自分で帰らせろ。で、魔素低下の位置は?」
「国境から歩いて半日、街道から歩いて1日の地点です。それと、」
「何?まだあんの?」
「斥候として冒険者を出動させていたものですから、その、回収しろと命令されておりまして」
冒険者ならなおさらほっといていいだろう。日ごろから自分の命を自分で守ってる連中なんだから。
「チッ、三人だけまわせ。あとはこのまま国境へ」
「南へ行った可能性はないのですか?」
「あいつにとって一番安全な方法は国外退避だからそれをあきらめるわけがない。そのくらいわかれよ」
これだから馬鹿と行動したくないんだよ。馬鹿ばっかだからギルドでもパーティー組まなかったのに!あーもう面倒くせぇ!
「お前らはこのまま国境へむかえ。俺は一人で追いかける」
そう言い残して俺は揺れる馬車から飛び降りた。あいつが一人だとしてもグレートウルフ連れてたとしても『管理者』すら打倒した俺にかなうわけない。飛んでいってさっさとその首根っこつかんでやるよ!
「どけ!俺は身体をとりもどすんだよ!」
風魔法に反応して襲ってきた森のモンスターを蹴散らして木々の間を飛んでいく。まずは魔素が低下しているエリアの周辺を探ってみるか。
「邪魔だ!よってくんな!」
ロックバードどもを蹴散らし、ザゴブリンたちを押しつぶしながら一直線に進んでいく。こいつらがアンデッドになろうが関係ない。むしろ夜間にレンを襲ってくれれば楽なんだがな。
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