女王様はスローライフを御所望です

シャチクマ

第1話 女王様をお迎えに



社運を賭けた一大事業。

開発費50億円。広告派手に行いリリース当初は

大人気アプリともてはやされたが

そのアプリも2年も経てば徐々に徐々に売上は落ちてくる。

テコ入れ第一弾として1週間のメンテナンス期間を設けて大幅なアップデートを行っていた。


時刻は21:00


やっっっっと終わったっすね!

つっかれたぁ〜 今すぐお布団にダイブしたい

けどやっぱり飲みに行きたいっす!


先輩もどうっすか?

聞いてほしいこともあるしって言うか

愚痴らせてください 

もうメンタルがもたないんすよぉ


いや、俺はいいや

すまんね。


俺は小指を立てながら


コレがコレなもんで…


いやいやいやいや先輩

彼女も嫁もいないじゃないっすか!!

今日くらい行きましょうよぉ

こんなにかわいい後輩くんの頼みなんすよ

行きましょうよぉ〜


みんな聞いていたのか部内から笑い声が響く


いや〜ほんとごめんな。女王様迎えに行くんだよ。

俺4日間会社に泊まりだったからさ



あ〜それならしょうがないっすね

先輩の事は諦めるっす 

存分に楽しんでくださいね


ああ言われなくても溜まりに溜まった欲望を全て解放するに決まってるじゃないか

まず最初に


いやもう充分っす!

マ ジ で大丈夫っす!

先輩お疲れ様っしたぁ


また部内から笑い声と共にみんなからの

お疲れ様の声が


仕事が終わった開放感より

あれ?俺追い出された?って気持ちがが強くなった。

なんとも言えない気持ちで退社したが

そんな気持ちは一瞬の事だった。

会社を出て外の空気を吸った瞬間俺の思考は


さぁ4日ぶりに会える あぁ早く会いたい

これしか考えられなくなった。


はやる気持ちを抑えられないおじさんが

気持ち悪い笑顔で街中をかけていく。



カランコロン


いらっしゃいませー


あっすいません4日前に預けた犬飼です。

今から引き取りたいんですけど大丈夫ですか?


はい大丈夫ですよぉ

今お連れしますね〜


4日…たった4日かもしれないが

俺にとっては4日間砂漠をひたすら歩く。そのくらいの苦行だった もちろん言い過ぎだ。


さぁご主人様ですよぉ〜

店員さんがペット用キャリーから取り出した瞬間



あぁニャーコォ〜


勢いよく抱きつこうとした瞬間

ハッと目が開き勢いよくキャリーの上に飛び乗り

全くなんなんにゃ

と言わんばかりに前足をペロリ


相変わらずニャーコは照れ屋だなぁと言うと

ニャーコ目がひかり、シャッシャっと

激しめなスキンシップ

流石は我が女王様。手加減がない。


その光景を見ていた店員さんが


あんなに大人しかったのに

ご主人様に久々に会えたら嬉しくなっちゃったんですねと微笑む


預けてる間何か問題はありませんでした?

と尋ねると


本当におとなしくて賢くて全然手間がかかりませんでした。

ただ美人さんだったので他の子たちは少し気にはなってたみた…


そうでしょうそうでしょう

うちのミャーコは世界で1番美人さんなんです。

絶対嫁にやりません

そもそもですねこの過程の話が……


早口で店員の話に割り込み

止まらない止まらない


店員さんが困りながら早口の間隙に少し強引に


ミャ ミャーコちゃんですが、

ご飯もちゃんと食べて体調にも問題ありませんでしたよ。

もし帰ってから体調が悪くなりましたら当店は24時間やってますのでご連絡下さい。

あとこれがお預かりしていた期間の食事とおやつの

一覧になります。

こちらとこちらのがミャーコちゃんが気に入った

オヤツですね。



説明を受け、急に冷静になり恥ずかしくなりながら


あっすいません。

ペラペラとほんとすいませんでした。

わかりました。ありがとうございます。

ではその2つを3個づつお願いします。



ありがとうございます。

じゃぁこちら袋にお入れしますね


お会計を済ませ


店員さんがミャーコに挨拶をしてる

ミャーコは少しだけ ほんの少しだけ寂しげに

ミャと返事をした。


店員さんにまたお願いすると思うので

宜しくお願いします。と告げ店を出た


ペット用キャリーを持ちながら電車移動も億劫だったのでタクシーで家路へ急ぐ


タクシーの中でキャリーに指を入れては

シャーとやられるのを繰り返し

この幸せな時間を楽しんだ。



私が住んでいるマンションに着いたのは

時計の針が頂点で交わる頃だった。




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女王様はスローライフを御所望です シャチクマ @shinya96

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