第12話
なんやかんやで模擬戦をしにうちまで第2王子を引っ張ってきた。
なんやかんやに何が含まれてるか?.....あなたのご想像にお任せ。
「もーぎーせーん!もーぎーせーん!」
..........いや、なんで父さんがここにいるんだよ?ていうか幼稚園児並みのテンションだし。もう言葉からして脳筋だし。ていうか父さんが脳筋なのは事実だし。こっちの精神年齢のほうが大人の気分だよ。アホだなぁ.....我が家のことながらお恥ずかしい限りですよ、ほんっとに。
「何選ぶ?」
長いまつ毛を伏せながら第2王子が考える。イケメンだねぇ.....王子様みたい。あ、もともと王子様か。
「ロングソード」
「じゃ、俺もそれで」
そう言って2本木刀を手に取り、片方を王子に渡した。
「ん?」
何か引っかかったのか、王子は俺を見つめてくる。
何か悪いことした?不敬罪で連行される?やっぱ問答無用で殴って気絶させたあとに従者や護衛の人たちと一緒に無理矢理転移させてそのあとエリアヒールかけたのが悪かったのか?
でも今模擬戦に乗り気になってるし、そんなことないよね?
一応俺たちと王子を狙ってた暗殺者たちは一掃したし、証拠も隠滅したし。
治癒魔法かけたし。後遺症なんてないはず.....
ぐるぐる考えている間に、冷や汗が落ちていく。
いざとなれば、全部力でねじ伏せて国外に逃亡.....
アリだな。
こんな魔王の家でも下っ端の俺となれば国に影響はないだろうし。まぁ、国外逃亡するなら心配する必要はないけど。あ、でも家族が黙ってないかもしれない。
やっぱり力でねじ伏せるのが1番.....?
あれ?地面が揺れてる?
「おい!ハルト!おい!」
俺は、知らない間に王子に揺さぶられていたようだ。
「ごめん気づかなかった。何?」
「や、お前"俺もそれで"って言ったじゃん。あの言い回しは俺に合わせる風だったから、他の得物も扱えるのかな、って思ってさ。あとお前、考えてること全部口に出てたぞ」
「あーね。使えるよ、一通りはもちろん。ロングソード、短剣、片手剣、片鎌槍、十字槍、弓、魔法も.....あと、二刀剣法は今練習中。体術もできる」
魔法の部分はバレたらやばいので一応ぼかしておいた。
「すっげ!オールマイティーじゃんか!1番扱いやすくて好きだなって思うのは?」
「日本刀」
「は?」
王子の手から木刀が滑り落ちた。その木刀の原材料の木高かったのに。壊れてたら弁償してもらお。
「ごめん、日本刀って言った?刀?そんな知識普通は使わないし、知らないだろ」
「小学校の自由研究でやった」
「マジか!あとで見せて!」
「んー.....王子サマが勝ったらどうぞ」
作るのめっちゃ苦労したから、皮肉っぽく返してみた。
会話に一区切りついたのを見計らって、父さんが声をかけてきた。
「じゃあこのコインが下に落ちたら始めの合図な。魔法による攻撃、身体強化は一切無し。体術もなし。純粋な剣の勝負だ。判定は、俺が行う。基準としては、急所に剣を当てられるか、背中または腹が地面についたら。相手が降参した場合も含める。30分経っても決着がつかなければ技の種類や型などで総合的に判断する。質問は?」
「ない」
「ありません」
からん。
コインの落ちる軽やかな音から、張り詰めていた空気が、一瞬で更に濃密になり、模擬戦が始まった。
____________________
前回と今回の更新の間隔が随分空いてしまい、すみません!
転生したので平凡ライフを満喫しようと思っていたら、魔王なのでできなかった件 もっちり @mocchiri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。転生したので平凡ライフを満喫しようと思っていたら、魔王なのでできなかった件 の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
小説のネタ・豆知識/もっちり
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 2話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます