第3話
ハルトは、ぼんやりと窓の外を見ながら、転生前の記憶を思い出したときのことを思い出していたーーーー
あれは確か、暖かい春の日差しが心地良い4月のことだった。
「う、ぅぅぅう ….」
頭がガンガンする。当たり前だ。この”晴人”という人の15年分の記憶が流れ込んできたからだ。俺は、仰向けにひっくり返った。
直後、屋敷中にメイドの悲鳴が響いた。
霞んだ視界を直そうと、パチパチと瞬きをする。ぼんやりとしていた視界が戻り、同時に吐き気も襲ってくる。
「んん......」
ゆっくりと体を起こすと、こきりと首を鳴らして、伸びをする。その後、サイドテーブルに置いてあった冷たい水を一気飲みした。どのくらい気絶していたんだろう?
そんなことを考えていると、がらりと扉が開いた。綺麗な女の子が、物憂げな雰囲気を漂わせながら、ゆっくりと入室してくる。
「まだ起きないのかしら...........」
「どしたの姉さん」
「え.....ちょ.......まっ......え....あれ........起きたの!?.」
どうやら混乱しているようだ。そんな人は放置の方向で、ベッドから降りると、スタスタと扉の方へ向かっていく。
「じゃ、また後でね。ちょっとやることがあるからー」
ポカンと口を開けている姉さんの横を通って、ひんやりとしている廊下へ出た。まだ少し混乱気味の頭を整理しようと、こめかみのあたりをグリグリしながら歩く。
転生した。
名前はハルト、12歳で男、ジョブは魔王。
魔王の家系に生まれた。(ジョブが魔王に固定される、っていうのはこういうことだったらしい。)
兄弟は6人。姉が2人、兄が4人。そんでもって皆ブラコン。(え、ブラコンってこんなにやばかった?って思うくらい。鼻歌歌ってたら、尊い.........って言って鼻血だして6人揃って貧血になるくらい。もちろん両親も親バカ。まぁ、末っ子なのが影響してると思う。)
外見は不明。鏡は高価なものだから、国王様とかしか持ってないらしい。国王様があげるって話をしたらしいけど、別に要らないって断ったらしい。(ちゃんともらえよぉぉぉぉ!外見は一番見たかったやつ!)
あと、苗字はない。よくあるのだと貴族だけ苗字があるーとかだけど、この世界には苗字という概念が存在しないらしい。
基本情報はこのくらいか。ほぅとため息をついて書斎へ向かう。やっぱ本は良いよな!情報収集ちゃんとやっとかなきゃ。
そこへ、邪魔が入った。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!ハルトォォォォォォォォォ!」
「ちょっと静かにしてくれる?」
眉を吊り上げて文句を言うと、
「はうあっ!そんなハルトも素敵っ!」
「あぁ................俺はハルトに嫌われた............死ぬしかない............」
「兄さん、そんな事言わないで?兄さん死んじゃったら、俺悲しい(棒読み)」
「「なっ!ハルト!」」
「そんなやつに構わずに姉さんと外に行きましょ!」
「なぁぁぁっ!ハルト!兄さん頑張って生きるね!」
それを見てハルトはくすりと笑うと、その場を逃れようと、転移の魔術で裏庭に出た。
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こんにちは。もっちりです。
今日公開したエピソードの1つ目が短かったので、連続で投稿させていただきました。いつも投稿が深夜ですみません!
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