第31話 世界の中心・神殿06。

マリオンを止めに入ろうとしたのはキヨロスで「マリオン!ダメだ!やるなら僕がやる!」と声をかけるがマリオンは振り返ることなく剣を振るって「いいって、頑張って解脱を探して長生きしなって、お姉ちゃんでもリーンでもジチでもいいから結婚してさ…幸せになりなよ」と言う。


キヨロスは必死に「嫌だ!マリオン!」と呼びかけるとマリオンはヒビだらけでボロボロのアーティファクト・キャンセラーの前で一瞬立ち止まった後で「バカ…、そんな顔したら名残惜しくなるって…バイバイ…キョロ」と言った直後の攻撃でアーティファクト・キャンセラーは砕けた。

キィィィンと言うとても綺麗な音と共に砕けたアーティファクト・キャンセラーからは眩い光と衝撃波が生まれてマリオンの身体はバラバラになった。


あまりの事に立ち尽くすジョマを無視してキヨロスはマリオンに駆け寄る。

「マリオン!」と叫びながらマリオンの頭が着いている上半身の半分を持って顔を見る。


「…へへ、アー…ティ……ファクト…戻った……よね?」

「…多分戻ってる。トキタマを感じるよ」


「良…かった。……「記憶の証」……持って……行って。もし……かした…らまた……会える………よ…………」

「バカを言うな!僕はマリオンがいいんだ!別のマリオンはマリオンじゃない!」

キヨロスは涙を流して今もボロボロで全壊状態のマリオンを見る。


マリオンは少し嬉しそうな顔をすると「嬉し………いよ。……でも……私の事……が………好き………みたいに………聞こえる……よ?」と言った直後、キヨロスが「…僕はマリオンが好きだよ」とハッキリと言った。


「へ…へ……、やっ……た…。で…も………もう…身体………動……かな……いや…。……キヨロス…………キョ……ロ…。もっ…と……呼ん……で…おけ……ば…よかっ……た…よ……。私の…いな…い…世…界で……も…頑張っ……て……解脱…するん……だよ…?バ…イバ…イ……キョ…ロ………」


言うだけ言うとマリオンは動かなくなる。キヨロスが何回も「マリオン!」と呼びかけたがマリオンは動かない。


キヨロスは何度マリオンを呼んでもマリオンは動かない。マリオンとの約束を果たすためにも「記憶の証」を探すが見当たらない。

もしかすると破壊の衝撃で壊れたのかもしれない。

必死に探していると「やってくれるじゃない」と言ったジョマが怒りに目の色を変えていた。

そしてそのジョマの足元には粉々になったマリオンのブローチ「記憶の証」がある。

目を疑うキヨロスにジョマが「たまたま吹き飛んできたから踏み潰してやったわ!これでその人形は蘇れない!」と言う。


そう、「記憶の証」があってもマリオンに戻るかは一種の賭けだった。

それすら破壊されてキヨロスは絶望の只中にいた。


「「時のタマゴ」で跳ぶかしら?それも無理!アーティファクト復活までのタイムラグで破壊の瞬間には跳べない!アーティファクト・キャンセラー発動前に跳ぶ?無理よ!私は神の使い!記す者と同じ記憶保護の能力もある。今適用させたからアンタの事は忘れない!仮に時を跳んだとしてもその瞬間にアーティファクト・キャンセラーを発動させてアンタとコイツを殺す!」


キヨロスは何回も思案をしたがどの道を選んでも詰んでいた。

ジョマに記憶保護がされるのならジリ貧になる。


呆然とするキヨロスを見て「あはは!わかったかしら?あなたは詰んだのよ!」と言ったジョマは光を放つ剣を出す。


「これはね、パーンの知識で私が作った「創世の剣」よ。「創世の光」を簡易的に剣に転用したの。これを用いればアンタなんて簡単に死ぬ。「時のタマゴ」の力で死の直前に戻されるなら何回でも殺す!この世界から消えるまで殺すわ!」


「…へぇ……やってみろよ。僕はお前を許さない。僕からマリオンを奪ったんだ。すぐには殺さない」

キヨロスはゆっくりと立ち上がるとジョマを睨みつけた。


ジョマが斬りかかりながら火を放つ。

剣は防いだが直後の火でキヨロスは一瞬で焼き殺された。

ジョマは焼け死んだキヨロスの身体に向かって「お馬鹿さん、剣だけなんて信じたの?」と笑っていたが、キヨロスは死んでいるのに意識があり「トキタマ、僕の指示通りに跳ぶんだ」と着地の全てをイメージしてジョマが剣を振るった瞬間に飛ぶと「瞬きの靴」でジョマの背後に瞬間移動をして剣をかわして背中に大振りの袈裟斬りを入れる。

想定外の攻撃に痛み苦しむジョマの「ギャァァ!!?」と言う絶叫。


崩れ落ちるジョマに「馬鹿だな、真正面だなんて信じたの?」と言い放つキヨロス。


ジョマは倒れないようにしながら必死に振り向くとそのまま「創世の剣」でキヨロスの身体を真っ二つに斬り裂いて「あはっ!何が「万能の鎧」よ!」と喜ぶがキヨロスは剣を振られた瞬間にトキタマと跳んで着地するなり「「万能の鎧」の付与機能を自動防御。防御力は気にしない。僕の魂を使え」と呟くと「創世の剣」を受け止める。


「創世の剣」と「万能の鎧」が当たった衝撃でガィィィンという音が鳴り響く中、ジョマが「え!?」と目を丸くするとキヨロスは「ははっ、なんだ「創世の剣」ってそんなものなんだ」と言ってまだ起き上がらないジョマの顎を思い切り蹴り抜く。

蹴られたジョマは痛みでゴロゴロと神殿の床を転がる。


キヨロスは追撃する事無く「立ちなよ。動けなくなったら殺すよ」と言い放ち、この言葉にジョマは怒りに震えている。


「神の使いなのに人間に蹴られて転がる。神の使いが人間を見上げて人間が神の使いを見下ろす。滑稽だね」

「何よ!人間ガァァァッ!!」


その後も何回もジョマはキヨロスを殺すがキヨロスはその都度直前に跳んで全てを台無しにする。ジョマは記憶保護が適用されていたので全ての攻撃が破られた事を理解して恐怖していた。


冷静に平然と自分を何遍も痛めつける人間。

何度殺しても心折れずに向かってくる人間。


神の使いと人間の身体スペックからすれば、いつか殺し切れるかもしれないがそれまで何度やられるのか。


そう思うと恐怖すら覚えた。


「こうなったら後のことなんて知らない!コイツだけでも殺してやる!」

そう叫んだジョマは身体に3個の「悪魔のタマゴ」を付けて真っ黒な悪魔にその身を変えた。


キヨロスは呆れ顔で「もう終わり?終わらさないよ」と言うがジョマは受け答えなんか出来ずに「ガァァァッ」としか言わない。そんなジョマの殴りかかってくる腕を回避したキヨロスは「「革命の剣」!12匹の鬼達よ!僕の魂を使え!【アーティファクト】!」と叫び光の剣で悪魔化したジョマを一瞬でバラバラにすると「トキタマ、跳ぶよ」と指示を出す。


跳んだ先はジョマが「悪魔のタマゴ」を取り出した所だった。

ジョマはまさか殺されて戻されると思っていなかったので一瞬固まった後で自分の手元を見て悪魔化しても手も足も出ない事に震えてしまう。


キヨロスはその隙を見逃さずに「「革命の剣」!「兵士の剣」の技だ!【アーティファクト】!」と言って強烈な振り下ろしを放つ。


「え!?」と言ったジョマはそのまま吹き飛ばされて絶命したが次の瞬間にはまた同じ瞬間に呼び戻されて剣が脳天を直撃する。


何回も殺されて気が狂いそうになるジョマを再度吹き飛ばしたキヨロスは光の剣でバラバラにして倒す。

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