第27話 世界の中心・神殿02。
アーイが昏睡しているのでガクが代わりに「カーイがその神殿に居るのか?」と聞くとキヨロスが「なんでですか?」と続けてマリオンが「海を泳ぐの?」と聞く。
ルルが「だがガクの話だとカーイは病弱だと言われていた、とても遠泳など…」と言えば常継が「そもそも魔物いるんだろ?」と聞く。
キヨロス達が答えの出ない話していると空中に人が映し出された。
それは若い男とメイドだった。
「あはは、ノースのお馬鹿さん達は聞こえるかしら?見えるかしら?私は神の使い、ジョマ」
そう言った姿はパーンやシークと同じ女だった。
ルルが一番に「パーン!?」と反応をして常継が「いや、シークかも知れないぜ?」と言う。
ルルと常継が話している間もジョマの話は続く。
「してやられたわ。まさかパーンのプランAとシークのプランBが失敗するなんてね。でも平気。私のプランCがまだあるの」
「神の使い!見える?」
「はい…、見えます」
「あれが女の神の使い」
3人の神の使いは空中に映し出されたジョマを見て愕然としている。
「あはは、愚かな男の神の使いははじめましてね。今まで認識阻害の力を使った私はどの能力でも追えなかったでしょ?今は解いてるから姿が見えるわよね?」
まるでこちらを見ているかのように話してくるジョマは「そうそう、パーンのプランAを教えてあげる。サウスに「龍の顎」と呼ばれる無理矢理アーティファクトの複数持ちを可能にするアーティファクトを授けたり、イーストに「創世の光」と言う超高熱の光で全てを消し去るアーティファクトを授けたの。そして人の手で世界を滅ぼす。これがパーンのプランA。ああ、パーンは時折人間の姿にもなっていたから神の使い達も違和感は抱かなかったわよね?」と言う。確かに授ける者はサウスのアーティファクト事情だったにも関わらず違和感を抱かなかった。
ルルが「無茶苦茶だ…」と言い、キヨロスが「人の手で世界を滅ぼす」と呟く。
「それでシークのプランBはウエストとノースを戦争するように仕組むの。決して終戦はさせない。そうして世界を滅ぼす計画ね」
これにはガクが「くそっ、それで兄上達まで殺したのかよ」と怒りをあらわにする。
「そして私のプランC。まずはこの子ね。ノースの民ならご存知よね?この子はノースの王子カーイ。今は私の精神支配のアーティファクトで操り人形になってるわ」
映像に映る少年は青白くやせ細った少年で目は虚になっていた。
「そしてこれ、わからないわよね?」
そう言って映し出されたのは人の頭くらいの大きさをした水晶玉だった。
「これはアーティファクト・キャンセラー。かつてこの世界を作った神が、万一人間達がアーティファクトを正しく使えずに世界が滅びかけた時に使う緊急装置。これを発動すればこの世界のアーティファクトは全て力を失う」
この説明の間にも神の使い達は慌てるが、何故かどうする事も出来ずにいる。
「ふふ。この世界の神の使い達は慌てているわよね。
そもそも神殿に来るのは禁止事項ですものね。そして今も私が神殿を認識阻害にしているから緊急の特例処置にしても近付く事も叶わない」
これが神の使いが何もできない理由とわかった常継が「向こうのほうが上手かよ」と言いながら憎々しく映像を睨み付ける。
「そして、アーティファクト・キャンセラーを発動停止出来るのは生まれて一度もアーティファクトを使用した事がない人間。
だからサウスガーデンでは成人の儀を行う15歳までは基本的にアーティファクトに触れさせない。でも今人の激減したこの世界にアーティファクト未経験の子供なんて居るかしら?」
キヨロスは自分の居たサウスにだけ成人の儀があった理由を知って納得をする。
だが同時になぜサウスだけなのかと新たな疑問も生まれる。
「ふふ、あら不思議。身体が弱いからと生まれてこの方アーティファクトを使ったことのない王子様がここに居るわ!」
ジョマのわざとらしいリアクションが憎らしい。
「そしてノースの民ならご存知よね。ああ、他のガーデンは知らないわね。地獄門って知ってるかしら?ノースの地にある魔界と繋がる地獄門。普段は封印されているのだけど封印を解く鍵があるのよね。それは秘匿事項だから当事者にしか知らないわよね。あはは!それはノース王族の命」
そう言ったジョマは横に佇むカーイを見て「あら?ここにノースの王子様が居るわ」とわざとらしく言って笑った。
これにガクが「まさかあの野郎…」と言って映像を睨む。
「私は精神支配をしたカーイでアーティファクトを封じたら地獄門の前でカーイを殺すわ。そしてアーティファクトの使えない中でイーストの奈落に出るような魔物達が溢れた世界で貴方達は滅びるのよ!」
状況を理解したキヨロスが「マズい、どうすればいい?僕はとりあえずシークを倒した時に跳ぶから神の使いは僕を迎えに来てよ。それで神殿に僕を送るんだ!アーティファクト・キャンセラー発動前に僕があの女を殺す」と言うとマリオンが「バカ!魂残ってないから跳んでも倒せないよ!」と言ってキヨロスを止める。
「だけど何もしないわけにはいかないよ!」
「キヨロス、「時のタマゴ」で跳んでいる最中に発動されるとどうなるかわかりません。現状最適解はひとまず神殿への道の入り口に瞬間移動をさせますから神殿を目指してください。導く者!入り口でキヨロスを待つのです」
こうしている間にカーイは虚な目で「アーティファクト・キャンセラー発動。【アーティファクト】」と言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます