第25話 ノース/ウエストガーデン07。

戦闘が長期化すると「革命の剣」が放つ光の剣が遅く弱くなってきた。


「あら?「革命の剣」の坊やは魂が残り僅かなのね。ふふ。まあ「瞬きの靴」に「万能の鎧」そして「革命の剣」なんて無茶苦茶よね」


嬉しそうにう余裕を見せるシークとは対照的に「るせぇ!俺の事はお前を倒してからだ!」と返すキヨロスの顔色は悪く、肩で息をしてしまっている。


「ふふ、そっちの勇者さんもその位の剣技なら一対一でも怖く無いわ。坊やの後に殺してあげる!」

常継も決して弱くはないがあくまでアーティファクトに依存している。

状況は不利になりつつある。

その戦闘の最中、ガクが何かを決めた顔をする。


「父上、ここであの魔女を倒さないとガーデンはおしまいです。俺の命をあのキヨロスに渡させてください」

ガクの言葉の意味がわからないウエスト王は「ガク?」と聞き返す。


「キヨロスのアーティファクトは「時のタマゴ」、俺とアーイは40日後に起きる地獄からキヨロスの力で戻って来ました。

その時、ザンネを倒した光の剣なら、きっとあの魔女を殺せます。ただ対価は魂。俺は一度死にました」


ガクの説明にウエスト王が唸りながら「「自己の犠牲」はガク…お前を選んでいる。だからお前にしか扱えない。だがガイやガルを失った私にお前まで失えと言うのか?」と返すが、ガクは「世界の…、いや…アーイの為です。アーイならきっとウエストと和平をやり遂げてくれます」と言う。

ここで戦闘に参加せずにアーイやノース王を守っていたマリオンが「…待った!違うよ!わかった!アーイの力を借りるんだよ!」と会話に参加した。


「何?」と聞き返すガクを無視してマリオンが「アーイ!アイツのアーティファクトとガクのアーティファクトならどっちを再現しやすい?」と聞くと、この質問にアーイが「何?」と聞き返す。


「違うな、光の剣は飛ばせる?」

「ぶっつけ本番では無理だ!」


「ならやる事は決まった。ツネツギ!作戦会議!一瞬こっち!キヨロスは耐えてよね!」


マリオンの作戦にツネツギは「何ぃ!?作戦ってそれがか?俺とルル次第だろ?マジかよ」と漏らし、ガクが「俺も手伝う。ルル、急場凌ぎチームだがよろしくな」と声をかける。

ルルもマリオンの作戦を受け入れて「任せるぞガク」と言った、


「じゃあツネツギとルルとガクはフォーメーションよろしく、私もアイツに指示出ししたら参加するよ!」


ガクがルルの後ろでルルと共に「創世の光」を構える。

それに気付いたシークは「やらせないわ!」とルルに飛びかかろうとするのを常継が「勇者の腕輪」の光の盾で防ぐ。


「ちっ、時間稼ぎをするつもり!?」


キヨロスはマリオンに呼ばれて光の剣を消すとアーイ達の所に来る。真っ青な顔色のキヨロスは「マリオン…指輪外せ。フルパワーでアイツを殺す」と言うがマリオンは「やだよ。私はアンタと死ぬんだよ」と言う。


「マリオン!」

「もう、それは後でね。今は一度だけフルパワーで放てるようにしてあげる」


「んだ?指輪を他の奴に付けんのか?俺は反対だぜ?」

「そんな真似しないよ。いい?説明するよ」


マリオンの説明にキヨロスはニヤリと笑うと「成る程…それは助かる。アーイ?やれんのか?」と横に立つアーイに聞く。アーイは「任せろ。時間がない!行くぞ!」と言った。

確かに常継達はジリ貧でザンネが加わってもザンネの攻撃が邪魔する以外の脅威にならない以上役に立たなかった。


「あはは!「創世の光」は撃たせない!「革命の剣」は魂切れ目前!しかもここで一網打尽したら私がノースを支配して全世界を滅ぼしてあげる!」


シークの勝ち誇った言葉。アーイはシークを睨みつけた後で自身の首飾りを見て「「奇跡の首飾り」!お願い!発動して!「自己の犠牲」【アーティファクト】!キヨロス!」と叫ぶ。

首飾りから出た光がキヨロスとアーイを包んだ時、キヨロスが「おう!フルパワーだ!「革命の剣」よ!全ての力で俺の敵を切り刻め!【アーティファクト】!」と言って光の剣を放出した。



一瞬だった。

キヨロスの放った12本の光の剣は一瞬でシークの身体を切り刻んで倒した。

シークは倒された事もわからずに神の使いだからか血も流さずに霧散した。


霧散したシークを見てアーイが辛そうに「…やった…」と言う。


キヨロスが「アーイさん、ありがとう!」と声をかけるとアーイは「いや…、だが…昏睡が始まるようだ…。30日後に会おう」と言うと眠りについた。

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