第24話 ノース/ウエストガーデン06。
アーイは気付くと城の自室に居た。時刻は9時30分。外に居たメイドに聞くとガク達はもう会議室に居ると言われた。
本当に40日前に戻ってきた。
アーイは表情に出さないように努力しながら会議室を目指す。
だが問題は早く着いて早く会議が始まってザンネがノース王を殺す事は防ぎたい。
かと言って遅く着いて事情を知らない人達がキヨロスを刺客と思っても困る。必ず9時45分に会議室にいなければならない。
アーイは時間を調整しながら会議室を目指す。
前の時間ではウロウロしていてザンネに声をかけられたがそれもしない。
とりあえずアーイは約束の2分前に会議室に着くと真っ先にガクを見た。
ガクもわかっているのか穏やかな面持ちでアーイを見て頷く。
「はじめまして。ノースの姫アーイです」
アーイは時間稼ぎをする為に前に出てウエスト王の前で挨拶をする。
「はじめまして?…ああ、お噂では記憶を無くされたとか、残念です。私とあなたは過去にお会いしているのですよ」
ウエスト王の言葉は正しい、だがここで「はい」とは答えられない。
「お父様?」
アーイがノース王に確認をするとノース王は困り顔で「本当だ。過去にウエスト城で行われた和平会談の場にお前も行っていた」と話す。
「存じませんでした」
「お前は記憶を無くしていたからな」
このやり取りに痺れを切らしたザンネがノース王の横から離れてアーイの前に来る。
前の時間では突然剣を抜いたザンネがノース王を殺したがこれでそれは防いだ。
「アーイ、会談を始めるよ」
ザンネがそう言った時、会議室に4人が降り立つ。
キヨロス、マリオン、常継、ルル。
時を跳んだキヨロスはルルとテツイに事情を話す。40日後にイーストが「龍の顎」を装備した500近い兵士が攻め込んでくる事、ただ無策で戻ったのではなく、今からノースでウエストとノースの和平会談が行われる事、神の使いを名乗る女がノースのザンネを操って会談を台無しにする事。
キヨロスは「瞬きの靴」でそれを止めに行くと言う。戦闘状態になるはずだからルルと常継を連れて行くと言い、ほぼ有無を言わせずに「瞬きの靴」で瞬間移動を行った。
アーイは心強い援軍に目を潤ませて「キヨロス!」と名前を呼ぶ。
キヨロスは嬉しそうに「よし、アーイさん来れたよ!ノースの王様はマリオンが守って!ルル!ツネツギ!コイツがザンネだ!」と言った。
「キヨロス!どうすんだ!」
「ここでザンネと神の使いを名乗る女を…、何で?」
キヨロスが最後まで話せずに「何で?」と言った。
その声はあまり耳にしない困惑の声。
ルルが「キヨロス!どうした?」と声をかけるとキヨロスが「ルル、神の使いを名乗る女の顔…」と言いながらこの場に居る女を指さす。
それはイーストで自らに「悪魔のタマゴ」を二個装着して悪魔化をしたパーンに酷似していた。
「バカな…。パーン?」
「あらルルさん。はじめまして。でも私はあなたを知ってるわ。パーンは討ち倒されたのよね?うふふ。敵討ちかしら?」
「パーンでは無い?私を知る?何者だ!」
「シークとでも名乗ろうかしら?とりあえずルルさんの研究は役に立ったわ。それのお陰で再現不能だった「瞬きの靴」と「龍の顎」を作れたわ」
この説明でルルが「ちっ、キヨロス!謎は解けたぞ!この女!人工アーティファクトで「龍の顎」をつくったのだ!」と言う。
そのままルルはシークに向かって「それをノースの兵に装備させたな!?」と問う。
「させたな?いやあね。させる予定よ」
「予定?ならば…今ならばイケる!倒すぞ!」
「あら、やれると思って?私は神の使いよ?仮に私を倒せる出力がある「創世の光」を撃つにはここは狭すぎるし…。発射体制に入ったら殺すわ」
パーンはルルを見て殺気を放つ。
ルルは狭い会議室を見て一瞬で距離を詰められる事を理解して「くっ」と言った。
「それにね、私には試しで「龍の顎」を付けたザンネが動いてくれるわ。ザンネってばとても健気なのよ?ノース王に付けたり剣姫に付けるって言ったら自分が付けるって言うの」
この言葉にアーイが目を丸くしてザンネを見て「ザンネ!?」と真意を確認する。
ザンネは「…本当だよアーイ。いとこ同士でも皆家族だからね。利用されるくらいならノース王は殺してアーイとカーイは守ろうと思ったんだ」と言った。
ザンネが敵ではなかったと判明したアーイは安堵の顔を浮かべるが状況は何一つ解決していない。
ここでシークを倒さなければ人工アーティファクトの技術は流出し続け、ノースは無事でもそれ以外のガーデンはとんでもない目に遭う。
「…キヨロス!ツネツギ!シークを倒せ!私はそのザンネの人工アーティファクトを外す!」
「あら、ルルさんなら外せるけどやめて欲しいわね」
「ちっ、マリオン!使うぞ!」
「うん!私が王様達を守る」
「「革命の剣」頼む!【アーティファクト】!」
「連携だ!行くぞキヨロス!「勇者の腕輪」よ!頼む!【アーティファクト】!」
「「革命の剣」!?「勇者の腕輪」!?まさか一箇所に集まるなんて!S級が直撃したら死ぬ!」
シークはパーンが戦った内容を知らずに「革命の剣」と「勇者の腕輪」を見て驚き、必死になって回避をする。
その間にルルがザンネの「龍の顎」を外すとザンネも戦列に参加を試みるが「S級以外で何が出来ると思ってるの?馬鹿みたい!」と言われてあしらわれる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます