第19話 ノース/ウエストガーデン01。
西の国、ウエストガーデンと北の国、ノースガーデンは戦争状態にあった。約20年の戦争でお互いの国は疲弊していた。
ウエストはノースから攻め込まれる形で戦っていて、禍根も遺恨も何もかも無視すればノースが手を止めれば即時終戦になるような戦争だった。
サウスのような王制でもなければイーストのように大破壊でほぼ全ての王族が滅んでしまい、ルル曰くバカボンしか残らなかった訳でもなく、キチンと王制で王族が居たウエストとノースは長い戦争で王族のほぼ全てが亡くなっていた。
ウエストは現ウエスト王と最後に残った第三王子のみ、ノースはノース王とその娘と息子、後は王族の1人が残るだけだった。
ウエストの最後の王子はノースから「最終王子」と呼ばれていたがそれは揶揄だけではなく戦場に現れては我先に兵士を殺して回る姿から畏怖の対象として呼ばれていた。
逆にノースの姫はウエスト、ノースの兵士からは舞うような戦いから剣姫と呼ばれていた。
剣姫の名は戦意高揚の目的だけではなく群を抜いて実力があり結果を残してきた結果だった。
泥沼化し、互いに殲滅以外の先が見えない中、ノース王からの和平交渉の提案が突如舞い込んだ。
訝しみながらも提案通り王族だけでの会談のためにノースの地を目指したウエスト王と最終王子ガク。
だがやはり和平交渉は罠だった。
本気で和平を行おうとしたノース王諸共、ウエストを亡き者にしてノースが全世界に進出すると宣言をしたノースの王族ザンネ。
ノース王はザンネの凶刃によって殺される。
そしてザンネに指示を出していた神の使いを名乗る女が現れて、ノース王がかつて神の使いに殺された妻を生き返らせられる方法、ウエストの王族を根絶やしにしろと言う嘘に踊らされていた事を激白される。
これまでの戦争もノースから仕掛けていたことすら知らなかったノースの姫アーイは呆然と立ち尽くす。
混乱するアーイは自身のアーティファクト「奇跡の首飾り」を使えていなかったがウエスト王の助言で見事に発動させた。
「奇跡の首飾り」は見知ったアーティファクトの能力を完全再現するものでウエスト王はアーイに「瞬きの靴」の能力を伝えてウエストの城にウエスト王、ガク、アーイ、そしてザンネに殺されたノース王の亡骸と共に撤退をした。
本来、「瞬きの靴」を使用すれば使用者は魂を消費するが「奇跡の首飾り」は別の問題点を持っていた。
使用者の30日間の昏睡。
これによりアーイはウエストの地で30日間の昏睡をする。
アーイが目覚めた時、戦況は悪化していた。
突如強くなったノース兵に押し切られる形でウエストはギリギリの戦いを強いられていた。
アーイはノースが裏で神の使いを名乗る女に操られていたことを知って立ち上がる。
そしてその横には最終王子ガクがいる。
ガクとアーイは幼少期に和平交渉が行われていたウエスト城で出会っていた。
意気投合したガクとアーイ。
2人は自分達が仲良く出来たのだから戦争も終わらせられると言っていたが和平交渉の度にノースやウエストの王族が神の使いを名乗る女の手で殺されていて、その度に和平交渉は白紙になってしまっていた。
この日以来、戦争終結を誓ってロングソードの二刀流を訓練したガクはその甲斐あって最終王子の名を得るまでになる。
アーイは戦争終結の為に城の宝物庫からアーティファクト「奇跡の首飾り」を見つけ出し、未熟な身体で使ってしまったせいで記憶を失う。
記憶を失いガクの事も忘れていたが、ウエスト王の助言で「奇跡の首飾り」を発動した際に夢を見るように過去の自分の姿を見てガクとの仲を知った。
ぎこちないが始まる2人の仲。
ノースを助け出したいアーイの願いを叶える為にガクはウエストの為に前線に立ちたい気持ちを我慢してノース城へザンネと神の使いの暗殺とアーイの弟、カーイの保護に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます