第16話 イーストガーデン12。

悪魔化したパーンは「ガァァァッ!」と雄叫びを上げながらルルを狙う。

マリオンがルルを抱きかかえて回避をしてキヨロスが悪魔に光の剣を撃ち込む。


「くそっ!硬い!剣が刺さらない!さっきの女の時も人間の身体じゃない!」

「何それ!?」


「「龍の顎」…アーティファクトみたいな硬さで殺せなかった!」

この会話にルルが「ならこのまま戦うぞ!」と言った。


マリオンが驚きながら兜を装着して「ルル!?なんで?」と聞く。

「キヨロスが一撃で葬れるならまだ望みはあるが何回も攻撃を加えなければならぬならその間にまた悪魔化される!ちっ【アーティファクト】!」

会話中に殴りかかってきた悪魔はルルの攻撃で氷漬けになる。

だがすぐに動き出すと閃光爆裂の構えに入る。


「マズい!ツネツギ!本気の盾だ!ミシロとテツイを守って!マリオンは僕の後ろ!ルルはツネツギの後ろだ!」


「必殺技かよ!テツイ!御代!俺の後ろに!ルルも来い!」

ツネツギの青い光の盾に合わせてルルが氷の壁を作る事で少しでも軽減をし、キヨロスはマリオンを抱きかかえると「マリオン盾だけは張るんだ!」と声をかける。

そのまま閃光爆裂の衝撃に合わせながら動いて威力を逃す。


「危ない…サウスで戦ってて良かった」

「アンタ回避が上手くなったね」


この騒ぎに衛兵達が駆けつけるが「お前達では無理だ!だれも近寄らせ…いや!城から逃げろ!ウノ達には、この黒い悪魔がパーンで、城の人間を皆殺しに来たと伝えろ!私はルルだ!」とルルが止める事で城の皆は避難を始める。


「ルル、どうする?」

「キヨロスの攻撃もゼロではないが現実的ではない…。テツイとミシロを逃すにしても逃した先でテツイが悪魔化したらアウトだ」


常継とルルの会話を聞いてキヨロスが「おいルル!テツイの「悪魔のタマゴ」を破壊可能な状態にしろ!俺がどっちもやる!」と言う。

マリオンが慌てて「バカ!魂!」と言うがキヨロスは「んなもん後回しだ!この黒いのも俺がやる!ツネツギはミシロ連れて逃げろ!お前はニホンとかってトコの奴だろ!こんな所で死にたくない、ミシロを死なせたくないって言ったろ!」と言う。


常継はキヨロスを見て「…キヨロス」と言い、御代はそんな常継を見て「お兄…」と言う。


常継は数秒唸った後で「マリオン!代わってくれ!御代を頼む!攻撃力ならマリオンより俺だ!ルル!テツイの「悪魔のタマゴ」を外せる用意をしろ!俺もやる!」と言ってマリオンの代わりにパーンに斬り込む。

「勇者の腕輪」だからこそできる技で悪魔の攻撃も防ぐ事が出来て悪魔自体にダメージも与えられる。


マリオンは状況を素直に受け入れると「了解。ミシロ、逃げるよ」と言って御代を抱きかかえる。御代は心配そうに皆を見た後で「マリオンさん」と言って従った。


「…キヨロス!テツイはいつでもやれるぞ!」

「わかった!任せろ!マリオン!本気で使うぞ!」


「倒れないでよね?」

「倒れるかよ!12本!【アーティファクト】」


あっという間にテツイの「悪魔のタマゴ」を破壊したキヨロスはその勢いで悪魔を斬り付ける。


常継は自分の肉薄距離を飛び交う光の剣に青い顔をして「バカ!剣減らせ!俺もいる!」と言うがキヨロスからは「バカヤロウ!何時間かかるかわかんねぇって!」と言い返される。



その攻防の中、ルルが「…テツイ…逃げよ」と言う。

テツイは「ルル様?」と聞き返すがルルはテツイを見ないで「ツネツギ!キヨロス!お前達の命を預けてくれ!」と言った。


「ルル!?」

「何すんだ?」

「「創世の光」を使う!この状況の打破にはそれしかない」


「バカヤロウ!「創世の光」を使いこなせるのか?」

「やるしかあるまい!膂力には自信がないが精神力と制御力ならなんとかなる!」


「ルル様、どう言う事ですか?」

ここでテツイはルルから「創世の光」が膂力、精神力、制御力が求められるアーティファクトだと聞く。


一瞬の間の後で「わかりました」と言ったテツイは「ツネツギ様!ルル様のサポートをお願いします!膂力をツネツギ様がなんとかしてください!その悪魔の足止めは僕がやります!【アーティファクト】【アーティファクト】!」と言ったテツイの巻き起こした火炎竜巻の真ん中で悪魔は身悶えをする。


「んな!?」

「んだよこの竜巻」


「風と火の力を合わせました!僕もこれくらい出来ます。一応次代のアーティファクト使いって言われてました」


「十分な戦力だ!頼むぞテツイ」

ルルに褒められて喜ぶテツイは離れた場所からアーティファクトの攻撃を繰り広げる。


ルルの前に戻った常継が「んで?どうする?」と聞く。ルルは真剣な表情で「創世の光」を見た後で「ツネツギ、私の背後に回って私を抱きしめよ」と言った。


「あぁ?こうか?」

常継はルルの背後に回ると両肩から手を回してルルを抱きしめるとルルは一瞬で真っ赤な顔になって「違う!何故そうなる?それは恋人同士の抱きしめ方であろう!」と怒る。


「後ろから私と一緒に「創世の光」を持つのだ!」

「そうならそうと言えよな…」


常継は呆れながら「創世の光」に手を伸ばす。

するとルルが震えているのがわかる。


「ルル…震えてんのか?」

「当たり前だ。私の自信は経験から来るものだ。経験もなく力が振るえるものか!」


実年齢は年上だが今は年下のルルを見てやる気になった常継は「そこは頼れる俺がやってやる。2人であの悪魔をぶちのめすぞ」と言うとルルは強く頷いて「心強い【アーティファクト】」と言って「創世の光」を発動させた。

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