第15話 イーストガーデン11。

キヨロスが跳んだのは城に帰るところで、前の時間はテツイを探しに直接城に入った所だった。


常継が辺りを見渡して「ここは!?」と言って慌てるとキヨロスが「さっきの時間で言えば今から城に入る所だよツネツギ。皆で小屋に行ってまずはミシロを確保しよう」と言って落ち着かせる。「あ…ああ、そうだな」と言ったがルルは「いや…。私とマリオンでテツイの確保をする」と言う。


「キヨロス、お前はどれだけあの光の剣を出せる?」

「12本が限界。距離が遠くなるのもダメだよ」

この説明にルルが「…後は目が足りないか…」と考える。


「目?」

「ああ、あの女を見つけたい」


「それなら僕の光の剣は全てに僕がいる感覚になるから見えるよ」

「なら12本でなくていいから何本か上空に飛ばせ、後はトキタマと呼んだな。トキタマよ、上空からあの女を見つけ次第キヨロスに攻撃指示を出すのだ」


「ルル?」

「恐らくミシロに手を出せなければ強制的にテツイを孵化させるやも知れないし、2人を確保されればテツイの姉や城の連中が狙われかねない」

この説明に辺りを見渡した常継が「人質だらけって事か…」と漏らす。


「だから破壊と戦闘と防衛を一気にやる必要が出てくる」

「マジか…。破壊はルルが解除をしてからキヨロスが破壊、戦闘はさっきで言えば狼か…」


「うむ。それで防衛はイーストの住人達を守る仕事だ」

マリオンが思案しながら「それって難度高いね」と思ったままを言うとルルは「ふむ。敵次第だがまあなんとかしてみる」と言い切った。


「ルル?」

「先ほどの話ではキヨロスは魂の消費を最低限にすべきだ。だから全部を任せるわけにはいかない。ツネツギもS級アーティファクトの持ち主、私も「創世の光」の持ち主として最善を尽くそう」


世間話を装う風にツネツギとキヨロスは御代の元に向かい、ルルとマリオンは城に入ってテツイを迎えに行く。

キヨロスはすぐにパーンを見つけて「ツネツギ、居た。あの女だ…」と言う。


「殺せるか?」

「おそらく可能だけどルルとマリオンを待とう。あの女、一定の距離でマリオンとルルの後をつけてる」



小屋に戻ったルルとマリオン、テツイにあの女がコソコソ見てる旨を伝えてどうするかの相談を持ちかけるが心配したのはマリオンだ。


「あんたまだ光の剣出してんの?魂無くなっちゃうって!」

「大丈夫、1本しか出してないよ」


マリオンは「そうじゃないって!すぐ無理すんだからダメだよ!」と言う。

このやり取りにルルが反応をして「うむ。キヨロスのことを考えると時間がないな…。一気に攻勢に出よう」と言った。


「どうすんだ?」

「かなり際どいがパーンの奴を中庭に誘い込む。そこでツネツギはミシロとテツイを守っている間にキヨロスは光の剣でテツイの「悪魔のタマゴ」とパーンを殺してしまえ」


キヨロスは頷きながら「殺していいの?」と確認を取るとルルは「責任は私が取る。ガタガタ抜かす奴らは私がひとこと言うから安心してくれ」と言ってニヤリと笑った。

状況が見えない御代が「何?何の話?」と言うとテツイが「僕も何だかわかりません…」言う。


「テツイをおかしくした女がそこら辺うろついてて、テツイを助けるとミシロを狙ってくるからお前らは中庭について来て俺達に守られろって話だよ」

「とりあえず外に出たら悟らせるな。行くぞ」


全員で小屋を出ると常継が「オラ!テツイ!今日は中庭でのんびり弁当食うぞ!」と言ってテツイの尻を蹴る。

テツイは何の話かわからないがキチンと常継の相手をして「ええぇぇぇ…、中庭には何もありませんよ?」と言う。常継は「中庭がある!」と言い返してテツイを黙らせる。


「お兄…小屋ごはん飽きたの?」

「飽きた!ルルだってずっと地下暮らしだから外ご飯食いたいだろ?」

「ふむ。悪くないな。まあとりあえず中庭に行くぞ」


皆の横を歩くマリオンがキヨロスに「どう?」と聞くとキヨロスは「来てる」と返す。


「キヨロス、中庭に着いたら私がパーンと話す。うまくいかなかった時は2分くらいだが済まぬ」

「わかった」


中庭に着くなりテツイと御代の肩を抱く常継。

「ツネツギ様?」

「お兄?」

常継はしてやったりという顔で「よーし!二人は確保!」と言った。


「良くやったツネツギ。パーン!居るのはわかっている!出てこい!」

この言葉で「あらあら、あはは。どうやってわかったのかしら?」と言ってパーンが現れる。


「私は天才アーティファクト使いだからな」

「あら、検知のアーティファクト?作られたのですか?良いですわね」


「良くも私の研究を持ち去って「悪魔のタマゴ」なんて物を作ってくれたな」

「あら?そこまで把握してるの?どんな裏技かしら?」

パーンは自分が居る事も、研究を持ち去った事も「悪魔のタマゴ」も全て知られている事に驚きを隠せない。


「さあな。とりあえずお前の身柄は押さえた。これからテツイの「悪魔のタマゴ」を破壊して終わらせる」

「やれるわけ無いじゃない。いいえ、やらせないわ!ここでルルさんを殺せば万事解決よ!」


高笑いをするパーンは服の中から出したある物をルルに見せて「二個のせするわ!」と言い自分の身体に「悪魔のタマゴ」を取り付けた。


取り付ける瞬間にキヨロスが光の剣でパーンを斬りつけたがパーンはたじろぐ事なく「うふふ【アーティファクト】」と言った。

パーンの身体は真っ赤な光を放つと真っ黒な悪魔の姿に変わる。

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