第13話 イーストガーデン09。
翌朝、朝一番から地下20階を目指した常継達は研究室に着くとノレルとルノレに宝石を持たせてみる。
「イケる気がする!」と言ったルノレにホッとしたが今度はノレルが難色を示す。
「はぁ?なんだなんだ?昨日はノレルになったんだから大丈夫だろ?」
結局常継はノレルの不安を無視して宝石を発動させると2人は眩い光に包まれて…ルノレになった。
「ルノレ!?なんで!?」
キヨロスは肩を落として「…とりあえず早いうちに戻るよ」と言って時を跳ぶ。
「失敗だったよ」
この言葉に常継が「何!?」と言ってルノレが困った顔で「それって…」と言う。
キヨロス達が考えを口にする前にノレルが「多分ルノレは25回で良かったのよ。それを50回使ったから…」と言う。
「くあっ!?マジかよ!ノレルすまん」
「仕方ないわよ、マリオンまた頼める?」
「いいよー」
今度はキヨロス達も手伝って1時間半でノレルのアーティファクトは各50回使い終わる。
今度こそうまく行くはずだと開発室に連れて行くと2人とも「イケる気がする」と言った。
そして宝石を発動させると2人は眩い光に包まれて…紫色の髪色をした少女、ルルになった。
「ふぅ…。助かった。育てろだけではやはりわかりにくかったな。気づいた時は「転化の水」の中でな、どうする事も出来なかった。
私はルル。イーストの天才アーティファクト使いだ。ツネツギ、キヨロス、マリオン、世話になった。お前達の要求はわかっている。
ツネツギ、「創生の光」を取りに行ってしまおう。
キヨロス、マリオンの人間化は恐らく「転化の水」でうまく行く。
マリオン、済まないがマリオンの望みだけはなんなのかノレル達は聞いておらなんだ」
「私の願いはコイツのアーティファクトが全て解脱を行う事。コイツが普通に人として死ねるようになって欲しいの」
「ふむ。それは難しいがわかった。私も協力をさせてくれ」
キヨロス達はこの先の展開について話し合う。
残り約25日以内にテツイを救う事、これに関してはルルの基礎理論が役に立つと言う話になる。
「だが実際目にしていないがどう言う状況だ?」
「左胸に植ってる感じなんだ、「革命の剣」で破壊したらテツイは死んだ」
ルルは「革命の剣」を知っていて聞き返す事なく「…ふむ。S級アーティファクトで破壊は可能だが宿主ごと死ぬか…」と言って数秒考えると「恐らく噂に聞く「龍の顎」の使用者と一体化する部分を用いたか、あるいは私の研究、人とアーティファクトの一体化を用いたかだな」と見解を述べた。
「人とアーティファクトの一体化?何やってんだルル?」
「アーティファクトとは案外不便なんだぞツネツギ。風呂に入る時も敵襲を考えれば外せない。私なんて見てみろ、成金の変な女に見えかねない」
ルルの指にはノレルとルノレが装着していた指輪型のアーティファクトが全て装着されていて成金と言われればそう見える。
「…成る程。てかルルって幾つなんだ?大破壊の時に城の仕事してたって二十歳くらいなら今は33くらいだろ?とてもそうは見えないぞ。童顔なのか?」
「違うな、城勤めは24の時だ。恐らくノレルとルノレになった時に12になった。そして13年の時を経て今は25だ」
「…何そのご都合主義。まあ良いけど俺が22で、キヨロスが15だったよな。マリオンは?」
「私は元になったマリーが今年13歳だから13だよ」
これを聞いてルルは嬉しそうに「私が最年長、リーダーだな」と言うが常継から「それはない」と言われてキヨロスからは「うん。ノレルはアテになったけどルノレとノレノレはアレだったし、アレを見て更にその2人が入ったルルはちょっと」と言われてしまう。
ルルが「失敬な!」と言ったがすぐに「まあいい。さっさと創生の光を取りに行くぞ」と言う。
「…キヨロスに会う前に25階まで降りたけどこの先はかなりキツイぞ?1日で行けるか?」
「…25階、頑張ったな。だが誰がそんな真似をするか。裏口を使う」
「裏口?」
「当たり前だ。私は奈落の製作者、言わば奈落の管理人。奈落の何処に何があるかくらい把握しているし、わざわざ機能テスト意外で魔物とは戦わない」
ルルはそう言って研究室の壁を触ると隠し扉が開く。
「か…隠し扉!?」
「うむ。私が触らぬと開かぬ。行くぞ」
ルルの後をついていくと長い螺旋階段が広がる。
「…10階分これ降りんのかよ…ルル、エレベーターとかなんとかなんねぇ?」
「エレベーター?なんだそれは?」
ガーデンにエレベーターがない事で常継が「あー…人が乗れる籠をロープなんかで吊って上り下りする…そうだな昇降機って言うんだよ」と説明をするとルルも興味が出たのかすぐに「成る程、試すか」と言ってルルはアーティファクト「迷宮の入り口」を取り出すと目の前に昇降機を作ってみた。
「どうだ?」
「完璧、凄いぜ」
「凄い!?そうだろう?そうだよな!」
ルルはヒートアップしてしまうがマリオンが「早く乗ってみたい」と言ってルルを黙らせると昇降機に乗る。
そして死んだ。
常継はルルに「ゆっくりと降りる」「下に衝突しない」等の情報を与え忘れていて、ただ籠が落下して4人は即死した。
強制的に時を戻されたキヨロスが物凄い表情で「待って、今死んだんだけど…」と言って乗り込むことを止める。
その言葉にルルが「え?」と青い顔で聞き返す。
「ツネツギ、これ落ちるんだけど合ってるの?下に衝突して皆で死んだよ?」
「…あ。ルル、カゴはゆっくり降りる。そして下にはギリギリ衝突しない」
この説明にルルが「なんだそうなのか」と言って作り直すとカゴはゆっくりと降りていき無事に地下30階で「創生の光」を手に入れた。
「創生の光」は黒い筒状のアーティファクトでこの穴から光が発生して全てを焼き尽くすと言うことだった。
「なあ、大破壊の時はルルが使ったのか?」
「いや、私のような若造に任せられないと別のアーティファクト使いが使った。この奈落の入り口、すり鉢状になっているだろ?そもそも真ん中だけはすり鉢状になっていなかった。あの真ん中でアーティファクト使いは暴走した「創生の光」を持って立ち尽くしておった」
「ルル、暴走ってどうなるの?」
「心に異常を来たした者の発言だから信憑性には欠けるが膂力、精神力、制御力が求められるらしい。
創生の光自体を押さえ込む膂力。
光を一点に纏める制御力。
そしてその全てを行う精神力。
どれか一つでも欠ければ「創生の光」は暴走をして周囲に被害をもたらす」
「成る程…ありがとう。とりあえず帰ろう。テツイを診てもらってそれからの話はその後だよね」
昇降機を使うとあっという間に地下1階に戻ってこれて常継は「…裏口…素敵だけどずりいよ」と肩を落としていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます