第12話 イーストガーデン08。

ノレルとルノレの救出から4日が過ぎた。

キヨロス達はテツイの手続きで常継の仲間として小屋暮らしが始まる。

頑張って隠そうとしてもどうしようもない事はあり、マリオンが人形兵士だと言うことはすぐにバレた。

奈落にはマリオンを人形から人間にする方法を探しに来たと言うと皆納得をした。


ルノレの訓練は順調?で、2日目には目から光が消えて名前を呼ぶと「はい、ゴブリンですか?殺します」と言うようになった。


出発前に常継が「なあ、そろそろ殺したゴブリンは100行くよな?」とキヨロスに聞く。キヨロスも「うん。でも覚えるの大変だからミシロに頼んだんだ」と言って御代に「昨日までで何匹?」と聞くと御代がメモを出して「んー…103だよ」とキヨロスに見せながら言った。


キヨロスも普通に「ありがとう」と返事をしてルノレに「100超えてたよ」と話しかけている。


これに驚いたのは常継で「なにミシロ、お前この世界の文字を勉強してんの?」と聞くと御代は「そんな事しないよ。ほら」と言って見せてきたメモには確かにカタカナで「ルノレ、15、30、58と書かれている。


「え?キヨロス…読めるの?」

「うん。僕たちの使う数字だよ」


この会話で常継が「なんで算用数字が?」と疑問に思うが御代は「あれじゃん?異世界に来たときにご都合主義で日本語がここの言葉になっちゃう奴」と説明をする。


「お前、そう言うウェブサイトよく見てるよな」

「うん。早く帰って更新追わないと!」

御代は「きっとお気に入りの奴が更新してるはずだから帰んなきゃ!」と言うので常継が「じゃあ帰れるように俺達を応援しろ」と言って出かけた。



100を超えたので20階を目指す事にした。

やはり一度踏破しているアドバンテージは大きく、またキヨロスと常継はS級アーティファクトの持ち主なので敵をものともせず斬り裂いていく。


そして地下20階。ルルの研究室に着くとノレルとルノレは不安を口にした。

「あれだけ倒したんだから平気だろ?自分を信じろって、なあキヨロス」

「うん。大丈夫、万一があっても僕が時を跳ぶよ」


テーブルの上に置かれた宝石を手に取ってノレルとルノレは手を合わせて発動させると2人は眩い光に包まれて…ノレノレになった。


ノレノレは少し照れ臭そうに「たはー、またノレノレになっちゃったねぇ」と言って笑う。

常継は愕然とした表情で「ノレノレ!?なんでだよ!」と言って混乱している。


「経験不足?仕方ない…トキタマ」

「はいはーい!」


キヨロスの力でノレノレになる前に戻る。キヨロスは言いにくいので常継を連れて戻ると案の定、常継はルノレの肩に手を置いて「失敗だった。わかるな?」と言う。


「ええぇぇぇ…またゴブリン?」

「いや、人食い鬼にしよう。俺とキヨロスで手足を切断するからルノレは首にナイフを突き立てろ」


「やだよ!」

「やれ!」


そのままルノレが拒否をして常継が強要をするやり取りの中、ノレルが「…ねえキヨロス」と話しかけた。


「どうしたのノレル?」

「なんかこの育て方って間違ってる気がするのよね。ちょっと試してもいいかしら?」


「良いけど、ルノレも?」

「ううん。私はマリオンに守ってもらいながら訓練するから150匹倒したら声をかけるわ」


「了解、じゃあルノレも150匹にするよ」

奈落の便利なところは魔物が無限に湧く事でノレルは3時間で目標に達していた。

目標に達していたノレルがキヨロスとツネツギを読んでルノレの方を中断させる。


常継が「んだよ!まだルノレは60匹だぞ?」と言っている横でキヨロスが流れ作業でルノレに「ルノレ、早くしないとこいつら死んじゃうからトドメ刺してよ」と指示を出す。

「ハイ、コロします」ルノレは目の色どころか顔色まで悪くなって血塗れだったが何とかキヨロスが手足を切断した人食い鬼にナイフを突き立てている。


ルノレにコメントを出さずにノレルは「ごめんなさい。方向性を確認したいの」と言って研究室に戻る。

ノレルとルノレが宝石を手に取るとノレルは「イケる気がする」と言い、ルノレは「きっとダメだよ」と言った。


「キヨロス、失敗したらごめんなさい。でも正しいか確認したいの」

「うん。数秒ならそんなに被害ないし大丈夫だよ。今度は僕だけで跳ぶよ」


ノレルが感謝をして宝石を発動させると2人は眩い光に包まれて……ノレルになった。


「ノレル!?」

「やっぱり…、キヨロス戻って」


「トキタマ!」

「はいですー!」



発動前に戻ったノレルは常継とキヨロスに「多分その訓練は無意味よ」と言う。

「なに?」

「え?そうなの?」


「私はマリオンに守ってもらいながらこの指輪のアーティファクト達を育てた。火、水、氷、土、雷、風の指輪でそれぞれ25匹の蜥蜴人間を殺した」

「それで150…」


「そうしたら宝石を持った時の安心感が違った。だから多分だけどルノレは回復、解毒、時の指輪を育ててあげたらルルになれると思うわ」

「よぉぉっし!じゃあさっさとやるぞ!時のアーティファクトは帰りながら使う!回復は外で怪我人に使って金取ろうぜ!そうしたらその金で宴会だ!そんで酔っ払い相手に解毒のアーティファクトで治そうぜ」


帰りは仮に150が適正数字だと考えて時を50、回復を50、解毒を50とするべきか、25回を適正として帰るか悩んだが常継が多いに越したことはないと言って各アーティファクトを50回使う事にした。


ルノレもそうと決まれば話は早い。

特技なので目に力も戻って笑顔も戻る。

時のアーティファクトで全員を加速させて、敵は動きを止める。

正に破竹の勢いで地上に帰ると怪我人達を治して金を取り、その金でテツイとナオイに御代を呼んで酒を飲む。


そして酔った常継達を解毒のアーティファクトで酔い覚ましさせた後で、今度は金を取って一般人達を酔い覚ましする。

一般人達はこれで更に酒が飲めると喜んで金を払う。

あっという間に目標の50回を超えた。

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