第11話 イーストガーデン07。
キヨロスが日記のような本を読むと今回の事に関する事が書いてあった。
[アーティファクトを求めた者へ
私の名はルル。
ここ、イーストは大破壊の影響で国は疲弊し、アーティファクト不要論に舵を取った。
アーティファクト使いの私は共に不要ならばとアーティファクトを奈落に放棄する仕事を受けた。
奈落をアーティファクト「迷宮の入り口」で作り出し、「地獄の門」と言う魔物を呼び出すアーティファクトで奈落を盗掘家達から守った。
先に一言足しておくと魔物は「地獄の門」からは離れて生きられぬ。「地獄の門」は地下30階、強い魔物ほど「地獄の門」から離れられぬ。地表に近づけるのはゴブリンくらいなものだ。
さて、話を戻そう。私はアーティファクトが再び必要になる日を考え、自己研鑽を怠らなかった。
まず一つ、人工アーティファクトを生み出す事にした。これは長年の夢、アーティファクトの相性や問題点の無いアーティファクトを作る事で相性で装備できない物を純正ではなく人工アーティファクトで補おうとした。
そしてもう一つ、人の身で全ての属性のアーティファクトを装備する為の行為。そこの水槽に2人の人間が浮かんでいると思う。
その水は私の作った人工アーティファクト「転化の水」。一定の法則に則って中に入れた物質を転化させる。今その水には身体を分けるように指示を出してある。
これから私はそこに入る。
そして攻撃のアーティファクト使いのノレルと補助のアーティファクト使いのルノレを用意する。
問題はこの後だ、また1つに戻す必要がある。
それはこの実験室ではなく地下20階に作った研究室だ。そこまでの間にノレルとルノレには十分な経験を積ませて欲しい。そうすればきっと私に戻れる。失敗は許されない行為だ。
私を助け出した者には私が人工アーティファクトを授けようと思う。
よろしく頼む]
読んだ内容を聞いた常継は「なんだよ…そんなことが書いてあったのか」と返しながら服を着るノレルとルノレを見る。
キヨロスは着替えを見ないようにしながら「とりあえずノレルとルノレの経験からだよね。どうする?」と確認を取る。
「2人の経験って持って来たのか?」
「わからないな…。ノレノレのは持って来たけど」
常継はノレノレを思い出して「アイツ、駄弁って飯食って文句言わないテツイに悪戯してた経験しかねーよ」と言ってどこか懐かしそうに笑う。
「そうなの?トキタマ!どうかな?」
キヨロスの肩にとまったトキタマを見てルノレが「ごはん…」と言い、ノレルは「鳥…」とだけ言うとトキタマは必死に「僕は食べられませんよ!」と返す。
「あはは、ごめんねトキタマ、ノレルとルノレの経験ってどうかな?」
「なんか変な人達ですね。なんか持ってる感じはしますね」
この説明にキヨロスがトキタマに「ありがとう」と言って「ツネツギ、あるっぽいよ」と言う。常継は「よし…じゃあ、20階目指して更に経験積ませようぜ」と言って壁を斬り裂いた。
だがここで問題が起きた。
攻撃的なアーティファクト使いのノレルは問題無いがルノレの戦闘力は一般人並しかない。
ノレルが蹴散らした蜥蜴人間の死骸を見ながらキヨロスが「これ、経験って魔物を倒した数とかならどんどん差が開くよ?」と言う。
愕然とした常継が「マジか…。ルノレ!そこの「聖なるナイフ」拾って使え。キヨロス!ゴブリン捕まえてトドメを刺すのをルノレにやらせようぜ」と言い出した。
自分にこれから何が起きるかを知ったルノレは「ええぇぇぇ!?やだよ!怖いよ!」と言って必至に拒絶を試みるが常継は「知るか!さっさとやれ!ノレノレの無念を忘れるな!」と言った。
そして断れる訳もなくルノレはゴブリンにトドメを刺していく。
「イヤぁぁっ!血がピュッて出た!」
「生きてる証拠だ!喜べ!」
「無理だよ!怖いよ!」
「お前が倒さないと奈落から飛び出して人々を殺すかも知れないんだぞ!」
「ルルならそんな失敗しないよ!」
「したらどうする!確証のない事を俺は信じない!いいからやれ!中途半端に痛めつけるな!お前の方が残酷だ!」
常継のスパルタ指導の裏で討伐数を稼ぎすぎているノレルは雷のアーティファクトでマリオンの補充を済ます。
「あー、助かるよ。ありがとうノレル」
「いいわよ。でも不思議な鎧ね、雷の力で動くのね」
「うん。本当なら「大地の核」の力で雷要らないんだけど、離れたりイーストは…」
「ああ、核が大破壊で傷付いたのよね」
「だから助かるよ」
「どういたしまして」
微笑ましく話す2人の下にルノレが泣きつく。
「ノレルーっ!ツネツギが怖い!」
「あらあら、今日はもうだめかしら?」
確かに限界かも知れないが常継は認めようとせずに「何!?泊まるぞ!今日は奈落で外泊だ!奈落から夜明け空を見るぞルノレ!」と言った。
ルノレは必死に「やだよ!空なんて見えないよ!」と言い返した。
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