第9話 イーストガーデン05。

結果は散々でテツイは「悪魔のタマゴ」の破壊と同時に絶命した。

キヨロスはテツイが服を脱ぐ直前に1人で跳んで「ダメでした」と言う。


「破壊…不能ですか?」

「壊せるんですけどテツイさんが死にました」


この言葉に首を横に振って「僕なら構わないので間違いが起きる前に殺してください!」と言って縋るテツイ。キヨロスはため息混じりに「それはいよいよになったらにします」と言った。


破壊可能だが、テツイが死ぬ事は承服できない状況で困っていると、フィルが「キョロくん、とりあえず人工アーティファクトって何なのかしらね?」と言った。


「そこからだよね。そもそも人工…人間が作れるって言うのがなぁ」

アーティファクトは神の遺物で授かる物と思っているキヨロスがイメージできずに困っているとマリオンが「でもさ、うちのお爺ちゃんも擬似アーティファクトを作れる訳だし、案外作れるのかもよ?」と言う。


確かにそう考えるとそうなのかもと思えてきたキヨロスは「あ、じゃあフィルさんをサウスに送りながらペック爺さんに聞いてみようか」と言った。

この言葉にマリオンは「賛成ー」と言ってフィルが「え?私帰るの?」と驚きを口にする。


キヨロスは微笑みかけながら「うん。イーストは危ないよ」と言う。

この顔をされるとフィルは正直困ってしまう。

戦力としては居たいが、時を跳ぶ際の負担にはなりたくない。


唯一言えたのは「じゃあ本当に困ったらまた呼んでくれる?」と言う言葉だけで、キヨロスは微笑んだまま「うん。約束する」と言った。


これで帰る事を了承したフィルを連れて一度サウスに戻ることになったキヨロスは「じゃあツネツギは僕達も奈落に入れるように手続きしておいてよ。ノレノレもなんとかしなきゃ」と言うとマリオンを連れてフィルを三の村に送り届けてその足で四の村に向かう。


ペックは丁度戴冠式の為に出掛ける所だった。

急に帰ってきたマリオンを見てペックは「マリオン?どうしたんだい?」と身体の不調を疑って工具を用意し始める。


それを遮るようにキヨロスが「ペック爺さん!人工アーティファクトって知らない?擬似アーティファクトとの違いとか知らないかな?」と質問をするとペックは懐かしむような顔をして「おお、懐かしい名前だね」と言って話を始めた。


「人工アーティファクトはイーストに行けていた頃に一度耳にしたよ。人の手でアーティファクトを生み出したいと言っていた女の子が居てね。…そう、名前はルルだったね。

ルルさんはゼロからアーティファクトを生み出したいと言い、僕は大地の核からアーティファクトを作る事にしたんだよ。

実物は目にしてないから違いはよくわからないけど擬似アーティファクトは大地の核の影響を受けるけど人工アーティファクトならそれが無いのかもね」


キヨロスはこの説明を聞いていて、先ほどの時間でメイド服の女が「ノレルとルノレは言わばアーティファクトと同じなの、成長させてから人工アーティファクトで合身すればルルに戻れたはず」と言っていた言葉を思い出した。


「ルル…!ペック爺さん?人工アーティファクトはルルが作るの?」

「ああ、そうだよ。イーストで会った日には将来問題点のないアーティファクトを作って配りたいと言っていたよ」


ここで話が繋がった。


「…ルルは人工アーティファクトを作っていたのか…!ペック爺さん、聞いてみたいんだけど取り外し不能で破壊すると持ち主が死ぬような人工アーティファクトでもルルなら外せるかな?」

「なんだいそれ?でもまあそうだね。その人工アーティファクトがルルさんの作品でなくても人工アーティファクトである以上基礎理論を作ったのはルルさんだからルルさんならなんとかなるかもね」


餅は餅屋でやはりアーティファクトを生み出すことは擬似でも人工でもプロに限る。

キヨロスは答えが見つかったことに「…それだ!」と喜ぶと「ありがとうペック爺さん!マリオン行こう!」と言って家から出て行こうとする。


マリオンも「うん。じゃあねお爺ちゃん、マリーの戴冠式頑張ってねー」と言ってキヨロスの後をついて行ってしまう。


残されたペックは「え?不調とかじゃなくてその話だったの?…行ってらっしゃい」と言って2人を見送った。



キヨロスは常継の小屋に戻ると常継達は小屋に居た。

キヨロスはテンション高く「ツネツギ、ルルだ!ルルに会うんだ!」と言う。


「どした?まあノレノレの野郎の意思でもあるからなんとかするが…」

「人工アーティファクトはルルの作品だ。ルルなら外せるかも知れない!」

これには一個を目指すと二個終わる一石二鳥状態に常継が「マジかよ」と言う。


「マジ?」

「…本当かよって話だよ。じゃあ15階に行ってノレルとルノレを回収しないとな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る