第4話 サウスガーデン04。
成人の儀の宴の中で父さんが「キヨロス、大変だったな」と僕の話を信じてくれて労ってくれる。僕は少し困った顔で「うん。でもまだ終わってないんだ。僕はトキタマを解脱させないと呪いにかかっているんだ」と呪いの話をする。
「それはどうするんだい?」
「とりあえず旅に出ようと思う。「雷鳴の杖」や「支配の王灼」はジチさんとマリーが使ってくれるから国境も越えられるし、とりあえずガーデンを回ってなんか良い方法が無いか探してくるよ」
この言葉に父さんと母さんは困った顔になったが、僕の身体には魂が残りわずかな事、今はマリオンが補助をしてくれている事を説明したらマリオンの手を取って父さんと母さんは感謝を伝えてから旅立ちを認めてくれた。
横に座ってご飯を食べるリーンが「ねえキョロ?」と聞いてくる。
僕は何の話かわからずに「何?」と聞き返す。
「私とフィルさんとジチさんとマリオンの誰をお嫁さんにするか決めたの?」
「え?決めないよ」
なんか勝手にそんな話になっている訳で僕が決めていないと言うとリーンは「なんで?」と聞いてくる。
「それは全部片付いてからかな?」
「ふーん…、トキタマちゃんで跳んでやり直せるんだから彼女にしてみればいいのに」
とんでもないリーンの発言に僕は「しないよ」と慌てると横でそれを見ていたトキタマが「えー!お父さん跳びましょうよ!」と言う。
「ダメだよ、僕が普通で居られるのはマリオンのおかげだし、無駄遣い出来ないって」
こうして終わった宴の後で僕は皆をそれぞれの家に返した。カムカとジチさんは三の村に住むと言う話になった。
そして10日後、マリーの戴冠式にあわせて僕は出発する事にした。一の村の皆には戴冠式に行ってくると言うことにしてそのまま黙って行ってしまおうと思っていた。
一応父さんと母さんには皆宛の手紙を渡しておいた。
村を出ると「おい!小僧!」と呼び止められて僕は正直驚いた。
目の前に居たのはガミガミ爺さんとマリオンだった。
「え?ガミガミ爺さん?マリオン?」
僕の驚きを見てガミガミ爺さんが「お前、戴冠式すっぽかして旅に出る気だったろ?」と言ってマリオンが笑顔で「お見通しー」と言う。
「お陰でマリオンに捕まって一の村まで連れてこられたんだぞ?」
「朝からずっと高速移動で疲れた。ドフお爺ちゃんって小柄なのに重いんだもん」
2人のやり取りに僕は「え?え?なんで?」と驚くばかりだった。
「なんでじゃねえって。マリオンの鎧、腰の所に筒と管が付いたろ?ここに「大地の核」から離れてもマリオンが動けるようにマリオンのベッドに付けた樽と同じ入れ物を用意したんだよ大地の核に近ければ勝手に貯まるし、遠い時は雷のアーティファクトでも入れられるからな。一の村は「大地の核」から離れてるからって用意させられたんだよ」
この説明の後でマリオンが「アンタ1人で行く気だったよね?」とジト目で見てくる。
「え?うん。だって僕とトキタマの話だし」
「それ、魂が繋がってる私も関係してるでしょ?」
そう、僕とマリオンの魂は繋がっている。
残り僅かな僕一人の魂ではとても解脱の時を待てない。
「え?行くの?」
「行くよ。これお土産、雷の指輪の擬似アーティファクト、私が動けなくなったらここに補充してよね」
そう言ってマリオンがポーチから指輪を一つ渡してくる。
「ええぇぇぇ…、だって離れていても「誓いの指輪」は問題無いって…、それに来てもらっても何も恩返し出来ないよ?」
「いいから行くよ。それに恩返しならマリーの事でも十分だし、他にもって言うなら私を人間にするアーティファクトでも探してよ」
「そうだな。マリオン、無理したら小僧に言ってメンテナンスさせに来い。後は小僧が無茶しないように見張る係をよろしくな」
こうして僕はマリオンとガミガミ爺さんを断れずに旅に出ることになる。ガミガミ爺さんだけは城に送ってから僕はもう一度一の村に戻るとマリオンと国境を目指して歩いた。
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