第3話 サウスガーデン03。
僕はマリオンを連れて国王を倒しに行く。
リーンと出て行ったように高速移動で四の村と城の間で一度作戦を練る。
「ねえ、最後まで戦いを見るから暴れなよ。私は自分の身体は自分で守るよ」
この言葉に僕は魂を共有してくれたマリオンの願いを叶えることにする。
「トキタマ、半分半分だ。僕自身を消さずに考え方なんかはトキタマの使う僕にするんだ」
変な話だが僕の提案にトキタマは「了解です!」と言う。すると少しの頭痛と共に出てくるもう1人の僕。
「おう、あんがとよマリオン。俺がちゃっちゃと倒すから観客よろしくな」
そう言った俺の言葉にマリオンが目をキラキラさせて「うん。すごい楽しみだよ」と言った。
「行くぜ?」
「うん!行こう!」
俺はマリオンが兜を装着した所で城の中庭に瞬間移動をする。
中庭には空を仰いで「力…、アーティファクト…、民のため…」と言っている国王が居た。
俺は挨拶も何もなく待った無しで「喰らえ!【アーティファクト】!」と言って斬りかかる。
「革命の剣」になってもやることは変わらない。一気に懐に入って斬り裂き、一撃で国王の右腕を切断する。
前の時間はリーンが居たから遠距離戦にしたが、今回は身軽だし時間が勿体ない。
俺が「使うぜマリオン!」と声を張るとマリオンが嬉しそうに「うん!行っちゃえ!」と返す。
「12匹の鬼達!行くぜ!【アーティファクト】」
俺は「革命の剣」に居る12本の光の剣、それらは箱庭の中では12匹の鬼達だった。
その鬼達を振るう。
斬り落とした「龍の顎」がある右腕を常に3本の光の剣で痛め続けながら俺自身は国王を狙い、残りの剣達が、壁に国王を縫い付けて一緒に斬り刻み続ける。
前までの時間はここまでだったが前回の時間で「革命の剣」が出す光の剣への力の込め方がわかった俺には問題ない。
このまま一気に終わらせる。
最初は悶えていた国王がグッタリした所で仕上げに入る。
「「万能の鎧」…付与機能は全て身体強化に変更。マリオン!合わせろ!アーティファクト砲だ!」
俺の声に見守っていたマリオンが嬉しそうに「え!?いいの!?右手だよね!体勢に入るから指示して!」と言って構えを取る。
「おう!右手が本体を取り込む瞬間!腕の形を捨てた所で鼻っぱしらに当てろ!」
「了解!巻き込まれないでよね!」
光の剣をしまうと傷だらけの右手はグニャリと形を変えて本体を目指す。
俺が「今だマリオン!」と言うとマリオンも「今だね!打つよ!【アーティファクト】!!」と言ってアーティファクト砲を放った。
アーティファクト砲の直撃で右手が大きくブレた瞬間に俺は「兵士の剣」から受け継いだ振り下ろしを「革命の剣」で放つ。
「革命の剣」には不満はない。いい剣だと素人の俺でもわかる。
そして「兵士の剣」にも不満はない。攻撃力不足…S級アーティファクト「龍の顎」を相手にどうしても決定打に欠けなければ愛用していたかった程だった。
「革命の剣」を授かるときに「兵士の剣」の嘆きを12匹の鬼達から聞いた。
だからこそ振り下ろしで決着をつける。
「喰らえ!【アーティファクト】!」
一閃。
俺の剣が一気に振り下ろされてマリオンのアーティファクト砲が当たってブレた右手に直撃をする。
わかる。
この威力、S級同士の衝突。
後は単純に俺の技量になる。
この技で何回切って来たと思ってる?
一の村を襲った兵士共、ジチさんの下僕達、毒竜、亡霊騎士。しかも時を跳んで果てしない回数を切り刻んできた俺の技を舐めるな。
そして力の使い方は意識してある。
魂を燃やして力に変える。
斬る対象を意識する。
相手は人間ではない。
人間の腕ではない。
とてつもなく硬いS級アーティファクト。
俺の剣は右腕を切り裂いたまま勢いを失わずに後ろの壁まで破壊をした。
壁に縫い付けていた国王は原動力になっていた「龍の顎」を破壊した事で死んでいた。
俺は「まあこんなもんだろ?」と言って横に居たマリオンに「マリオン、見てたか?」と聞き、「トキタマ、戻してくれ」と安全圏を飛行していたトキタマに声をかける。
マリオンは「格好良かったよ」と言ってトキタマは「はいですー」と返事をした。
「困ったのはこれだよなぁ」
僕は切り裂いた右手から出て来たその他のアーティファクトを見て頭を抱える。
「どうしたの?」
「多分僕が「支配の王灼」を持つと僕が悪魔化する」
前にそれで悪魔化をした僕を見ているマリオンは物凄い声で「触んないでよね?」と言う。
僕も「わかってるよ」とだけ返事をした。
結局マリオンに持ってもらったらどのS級アーティファクトも問題無かったのでフードの男には「また来ます」と言って僕達はペック爺さんの所に帰る。
一番に僕に気付いたガミガミ爺さんが「おう、早かったな」と出迎えてくれて、僕は「うん。前の時間でリーンと戦った経験でアーティファクトの使い方がよりわかった気がしたからね」と言う。
「じゃあ全部片付いたのか?」
「まだなんだよね。ガミガミ爺さん、このアーティファクト触ってみてよ」
「んあ?」と言いながらガミガミ爺さんが触ると「天気の玉」だけは触る事が出来ていた。
その後も触ってもらうと何と「支配の王灼」はマリーが触れられて「雷鳴の杖」はジチさん、「海鳴りの扇」はリーンだった。
「千里の眼鏡」はダメかぁ…。まあ良いのかな?」
これを見ていたカムカが「何やってんだキヨロス?」と聞いてくる。
僕は簡単に「国王の代わり」と言って皆を見ながら「僕はこれらに触って悪魔化したら駄目だから代わりを探してたんだよね」と説明をする。
この説明にリーンが驚いた顔で「え!?キョロ?それじゃあ私が「海鳴りの扇」でジチさんが「雷鳴の杖」でサウスを守るの?」と聞いてくる。まあ持てたからこれからヨロシクと言うのは悪いのかも知れないがサウスの為に大事な話なので「うん。ガミガミ爺さんは雨が続いたら「天気の玉」でよろしくね。マリーも助かったばかりで大変だけど王様よろしく」と言ってしまう。
困惑する皆をよそにまるで見ていたようにフードの男は現れるとマリーを「女王陛下」と呼んでこれからよろしく頼むと言って帰って行った。
僕は手元に残った「千里の眼鏡」を見ながら「なんか結構探せば「千里の眼鏡」も誰か使えるかもね。ナックとか聞いてみる?」とリーンに言うと必死な顔のリーンは「ダメだよキョロ。ナックに「千里の眼鏡」?お風呂覗かれるわよ」と言う。
僕はもう存在しない時間だが、ナックに思い出作りと言われてリーンのお風呂を覗いた時のナックを思い出して「あ、そっか」と言った。
うん。ナックに持たせていいものではない。
「ほら、帰ろう?とりあえず皆待ってるし私達居なくて皆探してるよ」
僕はそれを聞いて皆に説明を頼みつつ一の村に帰る。
一の村では僕とリーンが居ない事で大騒ぎになっていたがカムカやガミガミ爺さん、ペック爺さんの説明でなんとか信じてもらえた。
そして驚いたのはガミガミ爺さんが三の村の村長だった事だった。
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