29 夏合宿開幕
優輝が和泉さんに告白することを手伝うことになった俺は、その後も何気ない話を優輝としたり、バスから流れる風景を見ながらこの合宿をどうしたものかと考えを膨らませていると、あっという間にこの合宿で泊まる宿泊施設に到着した。
「おおー、すげえいいとこじゃん!」
「だね、ここなら気持ちよくテニスできそう!」
バスから降りると、優輝と和泉さんは宿泊施設やテニスコートなどの一面の風景を見て感嘆の声を上げていた。
だけどそういう声が出るのも分かる気がする。
近くには海があり適度に吹く風が気持ちよく、夏の暑さを和らげてくれる。
この気候であれば、テニスも学校のテニスコートでやるよりかは快適にプレイできるのではないだろうか。
また宿泊施設の周りは緑で囲まれていて、眺めているとなんとなくだがレトロな気分にしてくれる。
隙間時間にこの広大な自然を散策してみるのも一つの楽しみになりそうだ。
「この後の動きはなんだっけか?」
「それぞれの部屋に荷物を置いた後、ロビーに集合してミーティングだったと思うぞ」
優輝の質問に、俺が簡潔に答える。
「ミーティングやるのかー、俺は一刻も早くこの場所でテニスやりたいぜ」
「私も早くやりたいなー」
どうやら優輝と和泉さんの二人はすぐにでもテニスがやりたいらしい。
さすがテニスに前向きな奴は違うな、と心の中で俺は思う。
「どのみちミーティングが終わりればすぐにできるのですから、そんなに焦らなくても一時間以内にはできますよ」
「そ、そうだな」
「少しはしゃぎ過ぎたね」
中川さんの冷静な指摘に二人は我に返った。
「とはいえお二人がはしゃぎたくなる気持ちもわかります。みなさん、くれぐれも怪我がないように楽しみましょうね」
中川さんが言ったことにみんなが笑顔で頷いた。
こうして優輝の、和泉さんの、俺の、そして中川さんのそれぞれの思惑や感情、そして願いが交差しあう夏合宿が始まった。
思えばこの夏合宿がそれぞれの人生にとって、生涯忘れることができないとても重要なイベントになることを今の俺たちはまだ知らない。
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