帰った。

「ふぅ。」

帰ってきた。

疲れた。


「おかえりー!お泊まりどうだった?」

「山で迷子になった。もどったあと花火した。それだけ。」

「そうなんだ...」


「無線持っていった?」

「うん、助かった。」

「久しぶりのお泊まりだけど怖くなかった?」

「当たり前だよ。怖くないよ。」

「ふーん、じゃぁ次行くときは連れていって!」

「じゃぁまたその時に伝える。」

「今、ダメなの?」

「だって次行く時決まってないんだもの」

「ふーん、ならいっか。それじゃあもうすぐご飯だから早くきてね。」

バタン

久しぶりに弟の顔を見た気がする。

なんだろう、この懐かしさ。




「「「いただきます!」」」

「今日はおかえりってことでコロッケにしたよー」

「うん、美味しい!」


「そういえば、キャンプどうだった?」

前にも話したのに...

「とにかくいろんなことがあって森で迷って、帰って花火した。」

「楽しかった?」

「うん。でも夜のトランプはきつかった。」

「そういえば朝から眠そうだったね...」

「まぁね...」

「線香花火、どうだった?」

「一気に3つ火をつけた人がいてね...」

「それ、健ちゃんじゃない?」

「いや、違う方。」

「だったら...さっちゃん?」

「まぁ、当たり。」


いつまで続くんだこの話...

親からこんなに聞かれるなんて...


「そういえば、封筒が届いてたよ。」

お母さんがそう言って一つの封筒を差し出す。

「えぇっ?!見せて見せて!」

頭より先に体が反応した。

すでに封筒は手の中。

「ご飯食べ終わってから開けるのよ。」

「はーいっ!」


「ごちそうさま!」

そう言って、階段を駆け上がる。

まさか、まさかとは思うが...


自分の名前が書かれた封筒を開けてみる。

今度はUSBだ。

紙も入っている。

こんばんは。

うまく楽しめたかな?

今回は、CDから読み出してもらったあのアプリを体験してもらったよ。

それじゃぁ、そのUSBをパソコンに入れて、「Dissetup.exe」を実行してみてね。

そしたら現代に戻れるよ。

では。


「ふーん...」

いつもの生活に戻れるなら大歓迎だ。

社会人に戻った後どうなるんだろう。

「元の自分」がまた帰ってくるかな...

「それじゃぁ、」

パソコンを立ち上げ、USBを入れる。

自動再生の機能で、フォルダが出てくる。

「Dissetup.exe」を実行してみる

「本当に現代に帰りますか?」と出てきたが、もちろん「はい」で。

直後、無数の光に包まれた。

そう、ここに来た時みたいに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る