電車で
「...。眠い...」
今は午前5時半。
6時の電車に乗って行く。
なぜこんな計画を練られたか、それは昨日の一言が関係している。
「ごめん、もっと遊びたいから朝6時の電車に乗ろう!!!」
「いや、おばあちゃんたちは起きていないだろうに...」
「いや、実はもう許可取ってるんだ〜」
「?!」
「そんなわけで、よろしくね〜」
「う...うん...」
...
これだけの文がこんなにも深いとは知らなかった。
昨日は21時ぐらいに早めに寝るために宿題を決めた分だけやって、そして明日の朝にすぐ出発できるように朝ご飯のおにぎりを作って、そして...
何より5時半に起きないといけない!!!
それが重たかった。
未来の自分は朝8時起床、9時会社、20時帰宅、22時就寝のサイクルが普通。
朝5時半は本当にイレギュラーだった。
そして、学校よりも早いことに少し戸惑っている自分がいる...
...というのは置いといて、とりあえず駅に行かなくては...
今、5時45分を回ったところ。
早く行かないと置いていかれちゃう!
という訳で急いで着替え、お母さんが用意してくれたおにぎりを食べ、駅へ向かう...
駅に着くと、もうさっちゃんが着いていた。
半袖短パンにいつもの肩掛けバッグだ。
何か自分と服装が似てる。
「遅すぎない?もう50分なるよ?30分には私ついてたよ。」
「いやそっちこそ早すぎるから...」
「まぁ確かにね。」
「それじゃ、切符買うか!」
風情ある木造の駅舎に入ると、なんだか落ち着く。
いつもとは何か違う感じがするのも、「木の温もり」が関わっているからかな...
そんな適当なことを考えていたら、もうホームへ着いた。
「あーっと、6時5分に電車は来るから、それまでなにして待とうかな...」
さっちゃんがどこからかメモ帳を取り出してきた。
辺りを見渡すと、誰もいない。
そりゃそうだ。
こんな朝っぱらから来る人なんて...いた。
さっちゃんだ。
「もうすぐ来るね...」
駅の放送が入る。
電車が来た。
ドアが開いたが、誰も降りない。
確かにここに来る人は少ない。
しかもまだ早朝だ。
ふたりで空いた席に座る。
隣同士で座るのもまぁ普通だ。
というか、なぜかこの車両には、人がいない。
前の車両には、1人のお婆さん以外いない。
平日でも、こんなに空いていることは滅多にないはずなのに、何故...?
「ドアが閉まります、ご注意ください。」
そうアナウンスされ、扉が閉まる。
直後、ブレーキの解除される音がして、電車は走り出す。
「うわっ」
そう言ってさっちゃんが隣の席に倒れた。
「当たり前だよ...そうやって体幹鍛えようとしても無駄だぞ〜っ!」
昔の...いや、今のノリで言う。
「だって、何も持たない方がいいでしょ?倒れたって誰もいないのに...」
「そうだよなぁ...ってなるかよ!!」
頭を軽く叩く。
「ツッコミされても困るなぁ...」
そう言われる。
けどいつものことだ。
「昔はこうやって色々話してたなぁ...」
やばい!
また口に出してしまった!
「昔っていつのこと?小学3年の初めて会った時のこと?」
「う...うん...」
「それならいっか...」
そう言って、また見逃してもらえた。
なんで現代の自分に戻れないの?
またあのファイルを広大なインターネットの中から探さないといけないわけ?
あの友人は中学になって初めて知ったから、とっつかまえて話を聞くことも...知らないからできないか...
そしたら、どうやって現代に戻るかな...
「どうしたの?ボーッとして...」
気がつくと目の前に顔が...
「ううん、なんでもない。」
「外の景色を見ないの?もういかにも「都会」ってところに出たよ!!」
「そうだね...」
『まもなく、大分に到着します。』
アナウンスが鳴る。
「それじゃぁ、降りる用意をしようか。」
「うん。」
そうして、扉の前に立った時...
ガクン
急な減速。
「うわぁっ」
2人でそばの手すりに倒れる。
「だいじょうぶ?」
さっちゃんが言った。
「自分は大丈夫。」
起き上がって自分も言った。
痛いのはこっちの方だ...
扉が開いた。
「久しぶりだ〜〜〜けど、まだプラザの方は開いてない時間...」
「そうだね...」
相変わらずのハイテンションだ。
「それじゃぁ、乗り換え、乗り換えっと...あった!6時半だ!」
「じゃぁ、向こうのホームに行く?」
「うん!」
...
で、来たけど4~5人しかいない。
当たり前と言えば当たり前だ。
で、その後はバランスをとりながらいってみたり、席に座ってみたりして、気がつくと坂ノ市駅だった。
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