第46話 次の日のテスト勉強は(彼女目線①)

「ねぇねぇ、今日放課後テスト勉強会するんだけど出席しない?」


と私はクラスメイトに話しかけられた。

え、誘われたの?私。


昨日、教室で行われたテスト勉強は盛況していたようで、今日もやろうとみんな張り切っていた。なんでも途中からお菓子パーティーのようになったそうだが、それはそれとして集中できるしわからないところは誰かが教えてくれるしで非常に良かったと聞いていたのだ。

まぁ、私は誘われるようなポジションではないと思っていたから、全く油断してしまっていた。


こういうの、私は憧れていた高校生活なんだよね。中学時代からは考えられない私の成長。誰かわかってほしい。私のこの成長の素晴らしさを。


しかし、いくら成長したって言ったって私にとって大勢の中に誘われ、しかもその誘いに乗るというのは気持ち的にリスクが大きすぎる。

社交辞令で誘われただけなんじゃないか、参加しても浮いてしまうんではないか、そんなことを考えてしまうほどには私は成長していないのだ。


「結構参加するよ、えっとねぇ、、」


彼女は私のそんな思いをよそに話を続けていた。だれが参加するとかはまぁ別に。参加できるかできないかは私自身の問題だから。

そう思っていると、


「あとねぇ、高城君と、、」


え?彼が参加するの?

私ははっと顔を上げた。


私のことを変えてくれた高城くん。私をいじめの呪縛から解き放ち、私自身の生きる道を作ってくれた高城くん。

最近、彼とはあまり話す機会がなくなってしまっていた。

彼は人気者。彼の周りには人が絶えないし、彼自身も色々な人に興味を持って話しかける。

彼は最近、周りのクラスにも手を伸ばしており、この間は他のクラスの子と中庭にいるのをみた。

必然的に、私との関わりは薄まってしまっていた。

彼と話せる機会が得られるならば、頑張るしかない。参加する以外の選択肢は無いよね。


放課後になり、みんなで机を動かす。

ふぅ、参加するとは決めたけど、いざ参加するとなると緊張するし、何より彼と近くの席にならないと私は話しかけるチャンスすら掴めない。

私は彼の動向を伺う。

あ、だれかが彼に話しかけている。確かあの人は彼女が他校にいるって自慢していた人。あの人ちょっと苦手っぽい感じなんだよね。

そう思いながらすれ違おうとすると、


「ありがとな」


とお礼を言っていたのが聞こえた。え?私の記憶が正しければ、彼は私の前ではあの人と話していない。だから、彼が話すチャンスがあったとしたら昨日の勉強会ぐらい。

たった2、3時間でお礼を言われるほどの関わりをしたというの?

彼はやっぱり他の人とは違う、さすが私の彼!

彼はやっぱり変わっていない。私はそう思うと嬉しくなった。

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