第43話 次の日のテスト勉強は(彼女目線①)
今日もテスト勉強友達としてくる。帰り一緒に帰る?』
彼からそんなメッセージが来ていた。
私は見た瞬間に返信する。
『もちろん帰る!また帰る時間わかったら連絡して』
返信が終わると私はふぅ、と息をつく。幸せを噛み締める。
今日は幸せの最骨頂。私は自然と笑みが溢れてくる。こんなにすんなりと帰りの約束ができるなんて。いや、それだけじゃない。彼から約束を取り付けるメッセージが来るなんて!
私は頬を引っ張る。痛い、あぁ夢じゃないんだ。良かった。
私はほっと息を吐く。
昨日までは地獄みたいだったのに。
私と彼は中学校では毎日一緒だったし、学校で話せなくても帰り道一緒に帰ったり、姿だけは見れたりと彼を近くに感じる機会はたくさんあった。
クラスが同じだったのもあるのか、会えない日は無かったし、周りの友達も気を遣ってくれていた。
だから、学校が離れたって他の人みたいに別れたりしない、毎日会ってラブラブな日々を送っていく、そう思ってた。
でも、実際高校に入学してみると、想像とは全く異なっていた。今までとは難易度の桁違いの勉強、予習復習、新しい環境での友達作り、、
気がついたら1週間以上会えなかった。まぁそれでも、電話をしたり、メッセージを送り合っていたりしたし、私たちは大丈夫!と高を括っていた。
ある日、学校に行くと、友人が泣いていた。その子は私と同じように中学校から付き合っている彼がいる子だった。
あれ?どうして?確か昨日は彼との久しぶりのデートだって喜んでいたのに。
どうしたの?と声をかけると彼女は泣きながら衝撃的な一言を言った。
「彼に振られちゃった」
え?なんで?どうしたの?あんなに仲よかったのに!
彼女は泣きながら打ち明けた。
昨日、うきうきで遊びに行くと、彼の隣に知らない女性が立っていた。そして、彼から
「ごめん、この子のこと好きになったんだよね。だから、別れてくれない?」
と言われたと。
彼女は当然嫌だ、あり得ないと言ったが、彼の連れてきた女の子が、
「もう別れてくれない?もう彼はあなたのこと好きじゃないんだから」
と言われ、泣きながら帰ったという。
なんだそれ、ありえない!
彼女はとても優しく、笑顔が溢れている子で私は大好きだ。
そして、彼女が一番いい表情をするのは、彼女が彼の話をする時だった。どうやって付き合ったのか、どんなところが好きか、今度はどこに行くのか。
彼女はとても楽しそうに話してくれていた。
それなのに、、
私たちはみんなで彼女を慰め、励まし、気分を紛らわせるためにたくさん遊びに行った。
そうする中で彼女の笑顔も増えてきて、以前の彼女らしくなってきた。
しかし、私には一抹の不安があった。
もしかして、彼も?
私たちだって、学校は違うし、彼は結構モテるタイプ。
もしかして、彼も誰かのことを好きになってしまうの?私も彼から別れようと言われてしまうの?
そう考えると不安は溢れてしまい、どんどん連絡を彼にするようになった。
『今日一緒に帰れる?』
『夜、電話しない?』
『今日なにしたの?どこ行った?』
『学校はどう?友達はできた?』
返信がきてもなにも安心できず、また次、また次と連絡を送ってしまう。
彼からの返信が初めは熱心だったのに対して、どんどん冷たくなっていっても、返信間隔が伸びていってしまっても、私は送ることを止めることができなかった。
だって、送らないと!
彼から何かメッセージが無いと誰かと浮気しているかもしれない、私のことを忘れてしまうかもしれない。
そう思ったら1秒たりとも無駄にはできなかった。
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