第41話 次の日の勉強は(彼氏目線①)

次の日も勉強会はあった。

昨日の勉強会は酷かった。

別に、勉強はうまくできた。いつも集中できない分野もできたし、わからないところも解決できた。良くなかったのは、そのあとの菓子パでの恋バナ。彼女のことをうっかり喋りすぎてしまったがために、恥ずかしい思いをしたし、ひかれた。最悪だった。

だから、あんまり今日は参加する気はなかった。

でも、昨日家に帰ってからの一人ではあまり勉強は進まなかったし、勉強自体には集中しやすい環境だったからな。参加するか、今日も。

それに、あいつに言いたいことがあるし。


次の日も、昨日と同じように勉強会は始まろうとしていた。

机をくっつけ、全員が教えやすいように、聞きやすいようにといったようなレイアウトに。

昨日よりも参加者は少し多く、少しびっくりした。昨日いた人もいれば、昨日の楽しかった、といったような噂を聞きつけたのか、昨日いなかった人もいる。

10人は超えているな。


今日は変なこと言わないようにしよう、と心に決め席につこうとする。

今日は勉強するために来たんだから、余計な話はしない!

ってあ、あいつだ。俺に昨日アドバイスをしてきた奴。クラスは一緒なのに、なんとなくグループが違うからか、俺からは話しかけられなかった。

一言言っとくか。

悪かったって。

昨日のあいつの一言で僕と彼女の関係性は少し変化したのだから。


彼女には勉強会の話をしていなかった。

だから、部活もないであろうこのテスト期間に俺が早く返信してこないことに疑問を抱いていたんだろう。

俺は帰り道、ふとスマホを見た。

はぁ、疲れたなぁってうええぇぇ?

そこには100件を超えるメッセージを伝える通知があった。

ん?なにこれ、俺メッセージ溜めてなかったと思うんだけど。てっきりなんかのCMとかが入ってるのかな、と思ってみたら、全部一人の人物からだった。つまり、彼女から。


『ねぇ、今日一緒に帰らない?』

『いつ終わるの?』

『ねぇ、どうしたの?大丈夫?』

『返信して』

『大丈夫?』

『何してるの?』

『まさか女の子といないよね?』


そんな感じのメッセージがたくさん続いていて、俺ははっきり言って恐怖しか覚えなかった。

なにこれ?今まで重いなって思ってたことはあったけど、こんなことは今まで無かった。

返信が遅いって言ったってせいぜい2.3時間。はっきり言って驚きしかない。

なにこれ、もう別れよっかな。返信するのもめんどくさいし。重いっていうレベルからストーカーのようになってしまっている感じがする。

俺このまま付き合ってたら、やばいんじゃない?

俺は彼女に、


『別れよ』


ってメッセージを送った。

ふぅ、これで終わっただろ、彼女とは。ブロックすればもう関わりなくなるし、共通の友達もそんな多くないから大丈夫だろ。

そんな軽い気持ちで送った彼女への別れのメッセージには一瞬で既読がつき、恐ろしいほどの速さのメッセージがまた送られてきた。


『何?どうしたの?』

『そんなの嫌だ。絶対別れないから』

『まさか誰かに言わされてるの?』


いやこわいこわいこわい。

もはや、恐怖を超えて戦慄って感じ。なにこれ?あの子、こんなこと言う子じゃなかったのに。むしろ、こっちの方が誰かに言わされてるのって感じなんだけど。


そして、俺はふいに思い出した。あいつに言われたことを。


『彼女は君のことが好きなんだね』


これが“好き”なのか?俺の思う好きとは違うんだけど。

俺の思う好きって言うのは、なんていうかもっとライトな感じ?

会いたい時には会えばいいし、でもお互いの時間を持てば良くない?みたいな。

なんなんだろう。この怖さと彼女との隔たりっていうの?

これってどうすれば埋まるもんなわけ?

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