第40話 昨日の勉強会よかったよね
昨日の勉強会はすっごくよかった。
勉強会は最初、お通夜みたいに静かだったが、だんだん進むにつれてどんどんお互い仲良くなっていった。
最終的にはお菓子パーティーみたいになって結構楽しかったし、普段喋らない子と話しながら勉強が出来た。
しかし、僕にとってはもう一つの大きな成果があった。
それは、ヤンデレの才能がありそうな子を彼女にもつ彼と話をすることができたこと!
彼は恋バナにのったかと思うと、彼女に対するネガティブな点を言い始めた。
重いとかうざいとか、、
たしかに、話を聞いていると彼にとっては彼女の行動が鬱陶しく思え、彼女に対する気持ちが薄れるものだったのかもしれない。
しかし、彼の彼女に対するネガティブポイントは僕にとっては伸ばすべきポジティブポイント!
彼は彼女のその長所を短所と捉えているようで、重い、別れよっかなって言っていた。
しかし、その重さは彼女の愛の印、彼へ尽くしたい心、自分をうめてほしい欲望感…。
大きなお世話だろうとは思ったけど、僕は彼女の思いを代弁せずにはいられなかった。
彼女は君のことが好きなのさ。だからそうやって言うんだ。君も彼女に愛を囁かないと!って。
僕が意見を言うと、彼はすごく嫌な顔をしてた。おそらく、僕のことをうざっと思ったことだろう。
まぁ、でもそうかもね。はっきり言って、彼女との関係に対して口を出すには僕はあまりにも他人すぎる。しかし、ヤンデレ風味の子を悲しませるわけにはいかなかった。だから、僕は彼に嫌われてでも彼女の気持ちを代弁するしかなかった。
ヤンデレのためなら僕は世界から嫌われてもいいから、なんてね。
でも、別にアドバイスをしたからって彼が無理やり彼女とずっと付き合えばいいと思っているわけではない。
合う、合わないはあるしね?
ヤンデレ好きの押し付けは良くない。彼にとっても彼女にとってもよればいい結果を生まないだろう。
ただ、今傷ついている子がヤンデレっぽいなら僕は放っておかない、というだけ。
それで別れてしまうなら縁がなかったということ。彼女にはもっとふさわしい人がいるさ。
もちろん、彼にもね。
次の日も勉強会は開催された。
昨日、楽しかったらしいという噂を聞きつけたのか、あるいはみんながみんな友達を誘い合っているのか、人数が少し増えた。
その中には、城崎(独占型の彼女)もいた。
お!久しぶりに彼女と話す機会が得られるかもしれない。彼女の評判は鰻登りで、才能を開花させて以来、彼女の嫌な噂は聞かない。
彼女は今どのようにヤンデレ才能を活かしているのか、彼との関係はどうなのか。うむ、気になる。
僕は、今日も勉強会に対して期待に胸を膨らませていた。今日は、とりあえず城崎と話したいな♪
そんなことを考えていると突然、
「昨日は悪かったな」
とぼそっと誰かが言ってきた。
ん?誰だ?そう思い隣を見ると、昨日のヤンデレ風味彼女を持つ彼じゃないか。
え?昨日?ってあれかな?昨日のアドバイスのこと?
もしかしてうまく行ったのかな?
僕は詳しく聞きたいが、彼はそれを僕に伝えると、もう自分の席へと戻っていってしまった。
まぁ、しょうがない。そもそも僕は彼とは仲良くないし、昨日の態度からして僕にいい印象は抱いていないだろう。
彼女は才能開花をしたのか、あるいは彼がヤンデレの魅力に気がついたのか、それは定かではない。
しかし、まあそれはぶっちゃけどちらでもいいのだ。彼女も彼も傷つかなかった時点で僕としては万々歳!
次行ってみよう!
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