第39話 一緒にテスト勉強すると色々みえてきた(彼氏目線②)

「俺、彼女いるよ」

とりあえず俺は、彼女持ちであることを打ち明けることにした。

俺が言った途端、全員が興味津々の目で俺の方を見た。やっぱりね、高校初期に彼女いるとか中心にならざるを得ないでしょ。


「え?どんな子?」

「同中の子?それともまさか同じクラス?」


そんな質問が溢れて止まらない。

いや、みんな待ってよ。そんなすぐには答えられないって、なんて言いながら俺はみんなの中心にに慣れたことに嬉しさを覚えつつ、焦ってもいた。

なぜなら、俺は彼女に嫌気が差してきていたからだ。


最近、彼女は本当に変わってしまった。

中学が一緒だった彼女とは、同じクラスだったから、毎日一緒にいたし、結構遊んでた。

登下校も一緒だったし、昼食も一緒なことが多かった。

でも、高校が別々になってからはすれ違う日々か続き、あまり遊ぶ時間を取れなかった。

まぁでも、時間を作ろうと思えば作れるし、学校が違ったって俺たちの間には関係ないと思っていた。

しかし、彼女は、

「今日も一緒に帰ろうよ、何時に終わるの?」「今日はどこどこに行こう」

「夜毎日電話しよう?」

とたくさん言ってくるようになった。

最初は別に、俺のこと好きだからこんなに言ってくるのかなって思ってし、俺もちょっと嬉しかった。俺たちいい感じじゃん?ってね。


でも最近は、友達と遊ぶ予定が入ってても割り込んでこようとするし、ちょっと連絡が取れないだけでなんか騒いでくる。

正直言って疲弊してる。彼女ばっかりに俺は目を向けてられないし、俺だって高校での関係を作りたいし。浮気とかじゃなくてね。

マジだるいから別れよっかなって思ってるし。


気づいたら、みんな俺の方を見て少し引いたような目をしている。

あれ?何?

俺はなんでみんながそんな目で俺を見てくるのかがわからなかった。

しかし、その理由は1人の言葉で分かった。


「彼女とあんま上手く行ってないんだ」


え?俺声に出てた?

俺は気付かぬうちに、最近彼女が重くこまってる、といった内容を言ってしまっていたようだ。

やば、急にこんなの打ち明けられたって引かれるだけじゃん。やっちまった。


みんな「そういうこともあるよね」「離れるとすれ違うよね」と当たり障りのないことを言っているが、正直なところ引いてるのがわかる。

最悪だ。


そんな中、1人こちらを引いたような目でなく、かと言って同情の目でもなく、見たこともないような目で見てくる奴がいた。

え?何?

そう思ったのも束の間、奴はこう言った。


「へぇ、君の彼女は本当に君のことが好きなんだね。」


は?さっきの話の中で何を思ってそう言うんだよ。マジで揶揄ってんのか?

そう思い、その顔の主を見ると、そいつは全くそんなことはなく、むしろ恍惚とした表情を浮かべている。

なんじゃこいつ?俺の中で疑問が浮かんでいる中、そいつは続ける。


「彼女はきっと不安なんだね。離れたばっかだし。君も好きだっていっぱい伝えてあげたら安心するんじゃない?」


は?急にアドバイスされてるんだが。

なんだよマジでこいつ。そんなもん言うわけねぇだろ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る