第34話 僕は新たな境地に!
集まっている人の中には男性も女性もいる。
少し意外だった。
はっきり言って、ネット上では性別は自分の思うように捉えてしまっていた。つまり、僕の場合は、ほとんど全員を男性だと勝手に思っていたのだ。
僕と同じように女の子のヤンデレを好きな人ばかりだったから、てっきり男性ばかりだと。
へー、女性にもヤンデレって人気なんだな。友達になりたい的な感じかな?
大体の人数が集まったのか、場所を変え個室のあるカフェみたいなところに移った。
「個室なので、多少盛り上がっても大丈夫です」
とさっき僕を案内してくれた人が言った。
僕は初めてのオフ会であるが、他の人は参加したことがある人が多いのか、みんな仲の良い人と話し始めてしまった。
しまった、乗り遅れてしまった…。しかし、今日語り合えるのを僕は楽しみにしていたんだ。なんとか、誰かの話に入りたい。
できれば、あの人と、、
ネット上で一番話が合った人がいたのだ。
その名もミュウ太さん。好きなアニメも漫画も系統が同じ、ヤンデレが好きな理由も似ていて語り合うにはなんとも最適な人で。
今日、オフ会への参加を決めたのも、その人がいたからなのだ。
僕はできればミュウ太さんと話したいのだ。しかし、見た目はわからないため、どの人がミュウ太さんなのかわからない。
うーん、とりあえずいろんな人に話しかけてみるか?
そう思い、周りを見渡しているとそんな僕を助けるようにロングヘアの綺麗な女の人が僕に話しかけてくれた。
「このオフ会初めて?私、ミュウ太!よろしくね」
え?ミュウ太?
僕は彼女の方を二度見してしまう。あれ?男の人じゃなかったのか?
頭にはてなが浮かんでいることがわかったのか、彼女は笑って、
「あはは、ごめんごめん。私、そういう反応が見たくてわざと男の人っぽくしてるんだよね。でも、男の人とは言ってないから、私もだましてるわけじゃないからね?」
と言った。
なるほど、僕の勘違いのような勘違いではないような。
でも、男だろうと女だろうとヤンデレを好きであり、好みがバッチリ合っていたミュウ太であることに違いはない。
僕は、あまり気にしないことにし、彼女とたくさんのことを話した。
実際に会い、話すとやはり違う。
彼女はやはり好みのあったミュウ太だった。
今クールのアニメどれがいいよねって言ったら、賛同してくれるし、おすすめの漫画を聞くと、僕が気になっているものだったり…。
ぼくたち好み合いすぎじゃない?なんてね。
あ、そういえば。
僕は彼女に気になっていた質問をぶつけてみた。
「そういえば、ヤンデレ好きってことは知ってるけど、ヤンデレと友達になりたいみたいな感じなの?」
と。
すると、彼女はどう言う意味?と聞いてきたので、
僕は、ヤンデレの女の子と付き合いたいなって思う感じだから、男の子だとヤンデレの子と付き合いたいとかあると思うけど、女の子だとどう思ってるのかなって、と言った。
すると彼女は、驚いたような、そして信じられないといった顔をして言った。
「なに言ってるの!そりゃヤンデレの女の子と友達になりたいって言うのはあるけど…。
そんなことよりも、男の子にもヤンデレはいるでしょう!」
僕は目から鱗であった。
なぜなら、僕は自分の好みというか自分が見る漫画のジャンル的に、女性のヤンデレにしか目を向けていなかったからである。
漫画でも大体ヤンデレ要員は女の子。だから、僕にも先入観的にヤンデレ=女の子となっていた。
しかし、当たり前に男性の中にもヤンデレの才能を持っている人はいて、それを無視するのはあまりにももったいない。
ヤンデレは性別を超える魅力であり、性別に無意識に囚われていた自分を恥じるしかない、反省。
性別にかかわらず、同じ魅力を持つ、いやそれぞれの性別にしか出せない魅力を兼ね備えたヤンデレをたくさん生み出すことができるではないか、と僕は彼女との会話で気がつくことができた。
そして何より、両方に目を向ければ、ヤンデレは単純計算2倍になる!
よし、明日からも才能見つけてこっと!
僕は、新たな視線を持ちヤンデレの才能を見つけることができる気がした。
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