第33話 ヤンデレオフ会に参加!
いやー、すごくない?
この数ヶ月の間に僕は3人のヤンデレをこの世に誕生させた。
依存する子、独占する子、崇拝する子…
もはやヤンデレのみのゲーム状態。
どの子を攻略しようかと悩みどころになるところだが、残念。
僕は彼女を作るよりも前に、ヤンデレをこの世にたくさん生み出さなければならない。
だから、僕は未だ独り身。さみし。
しかし、今日はそんなことは忘れて語り合うのだ!
今日は、ヤンデレ好きのみが集まり、ただただヤンデレの魅力について語り合う会、名付けて、
「ヤンデレがいる世界に生まれてよかった」
のオフ会なのだ。
中学時代にヤンデレの魅力に取り憑かれた僕であったが、僕には困ったことが起きていた。
それは、僕の周りにはヤンデレが好きな子がいなかったということだ。
いや、厳密にはいたのかもしれないが、僕にはわからなかったのだ。
僕だって、大っぴらにヤンデレが好きだと言っていたわけではない。僕だってわかる。
声を上げて、
「ヤンデレが好きです!ヤンデレの子紹介してください!」
と、言うやつがやばいことくらい。
好きなことを隠す必要はないと言ったって、僕だって人目は気になるお年頃。
人に話を合わせながらなんとか生きていたのだ。
だから、僕は密かに、もしくは仲間内だけでヤンデレ好きを発揮していたのだ。
「このアニメの子、絶対にヤンデレになるよ」
「この子のヤンデレ具合天才だ」
なんてね。
しかし、僕の周りには共感者はおらず、僕は語り合える相手がいないことに不満を覚えていた。
人は、好きなものを言うだけで満足できない。できれば共感して欲しいものだ。
僕は誰かに賛同してほしくて、ネットで探しまくった。
ヤンデレについて語り尽くすことができる場を。
そんな時に出会ったのが、この会。
ヤンデレ好きになったきっかけや、どの辺が好きなのか、どのヤンデレが理想のヤンデレか…など、さまざまな観点からヤンデレについて語り合うことのできる最高の会なのだ。
周りに語れる相手のいない僕にとっては唯一の自分を隠さなくてもいい場であると言えるだろう。
今日はそんな会の初めてのオフ会!
というか、僕はオフ会自体が初めて。ネットで知りあった人と会うのってどうなのって思っていた自分もいたけど、個人情報をあまり出さない、
って言う点に気をつければなんとかなるのかなって。
まあ、しっかり気をつけては行くけどね。
あと、やっぱりヤンデレ好きに悪い人はいないしね、なんて。
どきどき。
僕は待っている間、心臓が高鳴っているような、締め付けられるようなどこか期待と不安が入り混じったような感情で待っていた。
ネット内では、
『このアニメの〇〇、病みとデレのバランスが最高すぎる』
とか
『このシーンみた?この目に光がない感じがやばいね』
と今クールのアニメや漫画、ゲームでのさまざまなヤンデレについて語り合ってはいるが、なにせ会うのは初めて。
どんな人なのか、果たして直接会って話が合うのか…。
どきどきだ。
「ジョウさんですか?」
と僕は声をかけられた。
僕は高城の城を音読みしてジョウというハンドルネームでこの会に参加している。
やっぱ本名はリスクあるしね。
話しかけてきた人は、背の高い少しひょろっとした感じのメガネをかけた男の人。
おー、ジョウっていう名前を知ってるってことはオフ会の人に違いない。
「そうです」
というと、じゃあこちらへって言い、彼は僕を連れて人が集まっているところに案内してくれた。
うわー、ドキドキする。
いっぱい語ろう。
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