第24話 崇拝型の才能を開花させたい ステップ1 才能探し

さて、今まで2人のヤンデレをこの世に生み出すことができ、僕としては上出来なのではないかと思う。

まだ学校は始まって2ヶ月ほど。このペースでヤンデレを生み出し続けることができれば、1年で12人、3年で36人…10年経てば120人!

夢しかないな。

あと、これはおそらくだけど、多分、城崎の彼氏はヤンデレ好きになったと思うんだよね。

ヤンデレを生み出すだけでなく、ヤンデレ好きを間接的に生み出すことでヤンデレに優しい世界、ヤンデレが生きやすい世界に繋がり、ひいてはヤンデレが溢れる世界とすることができるのではないか…!

とまぁ、飛躍しすぎではあるが、なかなか僕としては頑張れてるな。よしよし。


では3人目のヤンデレを!と思ったのはいいが、ここからは気をつけていかなければいかないことがある。

それは、生み出したヤンデレを放置してしまうことで、ヤンデレが傷つく事態を引き起こさないようにすること。

初めのとっかかりとして僕に執着してもらうことでヤンデレの才能を開花させているが、それはいわば便宜上。

僕はヤンデレを生み出していかなければならない役目をおっているため、生み出した1人のみにずっと関わっているわけには行かない。

しかし、生み出したらはい、終わりーでは全くヤンデレを愛しているとは言えない。


独占型の彼女の才能を開花させている時は危なかった。友達ができたため、その相手に依存することで杉沢はヤンデレの才能を開花させたままいることができると思っていた自分が恥ずかしい。

ふと見た時の杉沢の顔はすごかった。

般若のような、でもどこか寂しげな顔をしていて、彼女のフォローを急いでしなければと思い直した。


危なかったよ、本当に。あのまま放置していたらきっとヤンデレ同士が傷つけ合う結果になっていたに違いない。

それは全く望んでいないことだし、そうなっていたら僕はもうヤンデレを好きと言う資格もなかっただろう。

だから、今度からは、生み出したヤンデレの様子も伺いつつ、才能の開花を行なっていく、と言った方向でいいだろう。


ふむ、ところで次はできれば崇拝型を生み出していきたいが、まぁ、そもそも崇拝型とはどんなタイプの人か。

崇拝型とは、好きな人や恋人を文字通り、崇拝するタイプである。その人の言うことが全て正しいと考え、なんでも言うことを聞くことが特徴である。

自分に自信がないからこそ、相手が正しいのだと信じ込み、相手に心酔することで尽くしつくす。

その人を崇拝することでその人以外見えなくなる、だからより執着し独り占めしようとする。

一見すると、ただ尽くしがちな子であるが、相手の言うことをなんでも聞き、執着する、といった点ではやはりヤンデレの特徴を出してくるため、

そういったところが違うところだといえる。

いいね!尊敬が転じて執着となる。また違ったタイプ!


では、どう言った子にその才能があると言えるのか。

やっぱり自分の意見をはっきりいう子よりは、あまりはっきり言えず合わせがちな子、あとは誰かを指標とすることで生きていくことが普通となっている子とかが当てはまると言える。


そんなことを考えながら、クラスメイトを見ていたが、あまりそう言ったタイプはいない。自分の意見をはっきり言えないような子は何人かいるものの、それは大勢の中であったり、仲のいい子がいなかったりする場合に言えない子が多く、仲良くなるにつれて自分の意見を言うことができる人ばかりだ。

仲良くなればなるほど、その人が正しいと考え相手の意見を尊重しすぎてしまう、といった人は見当たらない。


誰にでも意見に合わせがちな子で誰か目標がいないと行動が難しい子がほしい!その子には絶対才能がある。

うーん、どうしたべきか…。

そう考えながら歩いていると、誰がにぶつかってしまった。


「あ、ごめん」


と言うと、彼女はうつむきがちにこちらこそ、と消えいるような声で言った。

髪の毛は長く、背は小さくなんだか守ってあげたくなるような見た目でありながら、なんだか影が薄いというか存在感のない子。

初めてみたな…。

ん?影が薄い?それってちょっと崇拝型の才能ありそうじゃない?わかんないけど。

ちょっと彼女を観察してみるか。

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