第22話 独占型の才能を開花させたい 番外編 彼氏目線
「ねぇ、この女の子とのSNSブロックして?」
「ねぇ、さっきあの子と何話してたの?」
「ねぇ、私のこと好きじゃないの?」
最近彼女がうるさい、というか僕に対する執着が尋常じゃない。
いや、なんとなく、噂では聞いていた。あいつと付き合うのはやめたほうがいいって。
見た目は可愛いけど、重いし、うざいし、よく怒るって。
でもさ、やっぱ見た目が可愛いし、結構話しやすいから彼女にしたいなって思っちゃったわけよ。だから、好きなんだよねって告白した。そしたら、いい笑顔でうんって言ってくれたんだよね。
あ、めっちゃ可愛い、もっとこの笑顔見たいって思った。
初めは噂とは違うじゃん、って思ってた。いつもニコニコしてるし、俺との話も楽しい楽しいって聞いてくれるし。だから、みんなこの子の良さに気づいていなかったんだって思った。俺ならこの子と長く付き合えるって。
でもだんだん彼女のわがままな感じが出てきた。女友達とも話さないでって言ってきたり、毎日好きって言ってって言ってきたり…。
初めは寂しいんだろうなってなんでもうんうん、って聞いてたし、電話もいつだってでた。だけど、はっきり言って毎日そんな態度だと疲弊してくる。
え?また?って。
まじ重いってこういうことかって気づいた。
毎日のその重さに疲れていた時、久しぶりに女友達からメッセージが来た。
なんか疲れてる?みたいな感じで聞かれたから、つい愚痴ってしまった。
本当はわかってた。あぁ、こいつ俺のこと狙ってきてんじゃんって。愚痴聞くふりして取り込もうとしてんじゃんって。でも、おれも誰かに愚痴らないともうやっていけなかった。
男友達には付き合うなって言っただろって言われるに決まってたし、女友達からはあいつの悪口を言われそうだったから。あいつのことを知らない人に言いたかった。
もう、俺疲れたんだよね。
だから、携帯を勝手に見られてだ時はまじでふざけんなって怒りが爆発した。
俺はこんなに我慢してて、お前の我儘聞いてやってたのに、なんでこんなにも自分のことしか考えてない行動すんの?って。
プライベートは大事にしてこうよ。俺ばっかり我慢してて、お前は何にもしないわけ?
距離置こうって言えた自分を褒めてあげたい。はっきり言ってそういうエネルギーすらも彼女にとられていたような気がする。
はっきり言ってせいせいした。彼女と付き合ってる間は彼女のことで時間が取られまくってたから、自分のしたいことだって何にもできていなかった。
でも、彼女と少し距離を置いてからというもの、自分の好きなことができるし、友達とも遊べるようになってはっきり言って充実感しか覚えなかった。
だから、彼女と離れている間、彼女のことを思い出すこともあまり無かったし、もうこのまま自然消滅でもいいかなって思ってた。
彼女と距離を置いて数週間後、女友達に急に
「ねぇ知ってる?城崎さんのこと」
って話しかけられた。うわ、また悪い噂かよ。あいつと付き合ってるとこんな噂ばっかり回ってきて最悪。もうさっさと別れたい。
しかし、今回に限っては違った。
なんでも、最近彼女は変わったらしい。
周りの人に親切になったし、お礼も言うようになったって。
いや、普通のことじゃね?そんなことも前はしてなかったってこと?ってたしかに、彼女からお礼を言ってもらったことはなかったかも。
そっか、離れている間に彼女も変わったのかもしれない。
そんなことを考えていた矢先、彼女から
「ごめん、今までの自分のわがままさとかが分かったの。だから、もう一回だけやり直してくれないかな?」
って言われた。
嘘、絶対に嘘だ。彼女は絶対に謝ったことがなかったし、謝るような人じゃなかった。だから、驚きのあまり声が出ず、気づいたら頷いていた。
そこからの彼女は本当に変わった。
僕にわがままを言うのではなく、何かすることはないか、できることはないかと聞いてくれるようになった。
まぁ、簡単に言うと、彼女は僕に尽くしてくれるようになった。僕と離れている間に何があったかはわからないが、彼女は本当に優しく思いやりのある人になった。
だけど、それは突然やってくる。
僕が女友達と少し話していると、連絡の通知が半端じゃなくきたり、彼女が話に割り込んできたりする。
でもそうやったことがあった後は必ず、
「ごめんね。でも、あなたのことが好きだから、誰かに取られちゃうんじゃないかって心配で」
え?なにそれ可愛すぎるんだけど。
そんな重さなら大歓迎。どれだけでも寄りかかってきてよ。
なんかこの重さが自分を大切にしてくれてるっていうか、それが逆に大切にしたくなるっていうか癖になる感じ?
彼女は本当はこういう人だったのだろうか、しかし以前の彼女はこんな人じゃなかった。
離れている間に何があったのか。
まぁ、何が合ったっていいけどさ、今の彼女は本当に大好き。愛してる。
もう別れないよ、絶対に。
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