第14話 独占型の才能を開花させたい ステップ3 仲良くなる突破口とタイミング
そのひとつの突破口とは彼女の付けている一見普通のキーホルダー。
パプアニューギニアの国旗にみえるそれは星の数が違う。
そう、あのキーホルダーはバンド【パピぷニューギニア】のものだ。
この駄洒落のようなバンド名のバンド。
くだらない、売れていないんだろう?と思うかもしれない。ところがどっこい、駄洒落を多く活用した歌詞と、それに似合わない繊細なメロディーが話題を呼び、バンド好きの間では密かな話題となっているのだ。
そして彼女がつけているあのキーホルダーは色がいつものものと違う。
おそらくあれは、ライブ会場限定のもの。
まだネット通販はしていないはずだから、あのキーホルダーを持っているということは、ライブ会場に行ったということ。しかもあのライブはこの県ではやっていない。
つまり、相当なファンであることが見て取れる。
しかし、いかんせんこのバンドはテレビには出ていないし、ライブも少ない。
必然的に、クラスにこのバンドについて語り合える人がいる可能性は低い。
そしてそれを裏付けるように、彼女がバンドが好きであるという話は聞かない。
バンド好きでなければ、話もしないといったタイプなんだろう。
ならば、そこはヤンデレチャンス!
パピぷを突破口として彼女の警戒心をほぐすことは可能である可能性が高い。
好きなものが狭義であればあるほど、その人の心を開くには十分。
これは大きな可能性を秘めた突破口だろう。
え?なんで僕がそんなマニアックなバンドを知っているかって?
決まってるじゃないか、僕は多趣味だからね。
バンドも一通りのところは押さえている。
まぁ、これもヤンデレのためだけど。
ヤンデレはほとんどが警戒心が強い。
しかし、警戒心というのは大体、好きなものが同じだったり、認めてくれたりすると解ける。
そのために僕は、高校生になってヤンデレと仲良くなるために、中学時代に様々なものに興味を持ち、色々なアンテナを張るようにしたのだ。
スポーツやアイドル、バンド、漫画、アニメ、鉄道…ある程度のものは一通りのやってみた。
まぁ、合う合わないはあったが、知っているということが何か理解につながることは間違いない。
結果、趣味も増えたし、今回も活かせられるし、最高だね。
あともう一つ大切にしたいのはタイミング。
彼女は常に寂しいから周りに人を侍らせたいタイプだが、よりそれが顕著となることがある。
それは彼氏との関係があまりうまくいっていない時。
彼氏から満たされない寂しさ、承認欲求を周りの人で満たそうとして、より人を集める。
その時に、自分の寂しさや承認欲求を満たしてくれる新たな相手が現れれば、彼女は喜んで受け入れるだろう。
そうすれば、仲良くなるための時間は短くなり、ヤンデレスパイスも加えやすくなる。
ぼくはその存在になるべく、そのタイミングでバンドの話をしようと心に決めた。
そう思っていた数日後、彼女はいつもよりも男子とのスキンシップが激しく、数少ない女友達にも執着している様子が見られた。
これは、狙っていたタイミング、彼氏とうまくいっていない時期なのではないか?
まぁ、彼女は寂しがっているのに狙っていたとは失礼だが、、
まぁ、しかし僕にとっては好都合。
彼女の才能を開花させるには絶好のチャンス!
僕は行動に移すことにした。
待っててね、ヤンデレの才能の蕾。今咲かせにいくからね。
全ては彼女の才能開花のために。
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