第12話 独占型の才能を開花させたい ステップ1 才能探し
僕は今日の朝も杉沢と話していた。
最近は、小説の話だけでなく、好きな芸能人やおすすめの店など会話の内容は多岐にわたっていた。
それだけ仲良くなれたと言うことだろう。
ところで、僕は杉沢と会話をしながら思った。
これ、依存型の才能がある彼女がいたのなら、他の型の才能がある人もいるのではないか?と。
そして僕はその日から他の才能がありそうな子を探すことにした。
そして見つけたのだ。
独占型の才能を持っていそうな子を。
独占型とは、相手の全てを独り占めしたいと思い、やや攻撃的という特徴を持つ。思い込みが激しく、負けず嫌いに多いと言われており、少しでも会えないと浮気を疑ってしまうとも言われている。
依存型も自分に自信がない人が多いと言われているが、こちらも同じ。
自分に自信がないからこそ、認めてくれる相手に存分に執着し、その相手を独占する傾向がある。
そして、相手を少しでも独占できなければ、それはなぜ相手が振り向いてくれないのかと言った相手への欲望として動き、情動的となる。
時に美しさを、時に激しさを。
うん、こっちも最高。
依存型と比べて、相手の求めることを全てする、といったものではなく、彼を独占するためなら
周りの人間がどうなろうとかまわない、むしろ排除するといった心意気。
感情を大胆に表現することで魅せる、彼女の真の中身。
うん、やはりこちらも最高!
ヤンデレといえばの象徴、排除。
周りの人として、異性同性問わない友人、ただのクラスメイト、最終的には相手の家族にまで嫉妬し、自分が相手を独占できるように働きかける。
まあでも依存型、独占型どちらが好きかとかは選べない。やっぱり、それぞれの良さがあるよね、もちろん。
ところで、独占型の才能がある子というのは一体どんな子であろうか。
例えば、依存型の子のように尽くしがちな子や大人しい子、あるいはみんなで仲良くしようよ、といった人にはあまり才能はあるとは言えない。
一方、相手を好きになれば他に誰もいらない、情緒を激しく表現する、勝ち気な性格と言った人が当てはまるといえるだろう。
そして僕がクラスで見つけた彼女はまさにそんな人。
彼女の名前は、城崎瑠璃。
ぱっちり二重の元気なタイプ。肩の少し上までのボブを外に跳ねさせている。
明るく元気で、一見友達が多そうなタイプに見える。
しかしその実態は、自分大好きなかまってちゃん。
自分の魅力を引き出すためなら、周りの人間がどれだけ迷惑を被ろうとかまわない。
そして、スキンシップが激しく、自分以外の人間に男子の好意が向くことが耐えられない。
だから、異性からの人気はあっても、同性からの好感度は最悪。
数少ない女友達は、誰とでも仲良くなれるようなタイプでその子のみに執着し、その子に嫌がられるようになると違う子をターゲットにし、また執着していく。
はっきり言うと、杉沢とは違う意味でクラスから浮いているのだ。
しかし、彼女は独占型才能を秘め、とっても魅力的だ。
彼女の周りからの視線を独占したい姿勢は、彼女が承認を渇望している証。
認めてくれる1人さえ見つけることができれば、相手に愛を与える幸せに気付き、彼女はもっと輝ける。
友人に執着する姿勢だって、その対象が受け入れてくれる相手であれば、それはもはや相手にとってのご褒美、そして彼女の自尊心も満たされる。
彼女は現在、自己中心的な様相が勝ち、好感度はあまり高くない。
しかし、この魅力を引き出すことができれば、彼女はもっと輝け、クラスにも馴染めるかもしれない。
僕は彼女の、ヤンデレ独占型才能を開花させることに決めた。
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