第7話 依存型の才能を開花させたい step7 ヤンデレ誕生!
放課後の出来事があってから彼女は少し変わった。
僕と話す時の笑顔が増えたのだ。そして、今までは僕から話すばかりだったのが、彼女からもたくさん話を振ってくれるようになった。
そしてその様子を見ていたほかのクラスメイトも
あれ?最近雰囲気明るいね
なんかいじめられてたとか聞いてたけど、話しかけても大丈夫そうじゃない?
といったように、彼女の雰囲気が変わったことで、彼女に話しかける子も増えた。
まだ、ほかのクラスメイトと話すことには緊張を覚えているようだが、僕を交えて話すと話せるようになり、友達も増えた。
まぁ、僕らはいつも一緒というわけにはいかないが、話す回数も増え、より一層仲良くなったと言える。
では、普通に仲良くなっただけなのか。
彼女は才能を開花させることはできなかったのか。
否、夜、それは現れる。
僕は、お風呂に入るために少し携帯を放置する。すると、彼女から
ねぇ、何してるの?
寂しいよ
私のこと忘れちゃった?
もっと学校でも私とだけ話してほしいかも
ねぇ、聞いてる?
無視しないで
どうしたの?
どうしたの?
不在着信
不在着信
不在着信
・
・
・
と怒涛に連絡が来ている。その数300。
以前の彼女とは違う。何せ、単純に考えてその連絡は43倍来ているのだ。
僕は彼女に電話をかける。
「ごめんね、お風呂に入ってたんだ。なんだった?」
と僕が聞くと、彼女は、
「あ、そうだったんだ。ごめんね、たくさん連絡しちゃって…。家に帰ると、高城くんいないし1人だと不安になっちゃって…」
と彼女は泣き出した。
僕は、
「いや気にしなくていいよ。全然、嬉しいし!いつでも連絡してよ」
と返すと、
彼女は、
「ごめんね、本当は嫌なの、こんな自分。最近私変になっちゃって。明日になったら高城くん話してくれないんじゃないのかなとか、高城くんは人気者だから私以外にもたくさん友達いるしなとか思っちゃって」
と言う。
そんなことないよ、不安になったらいつだって連絡して、と言ったようなことを言いながら約1時間程度で会話を終える。
他にも、彼女が、何か僕にできることはないかと聞いてきたり、なんでもするからね、と言ってきたりすることもある。
電話はほぼ毎晩しているが、時には、一度電話した後、深夜1時や2時に電話がかかってくることもあり、僕は最近寝不足気味だ。
うん、控えめに言って最高!!
これはまさしく依存型ヤンデレ!
まぁ、僕に対する執着が強すぎるとは言えないかもしれないけど、1人になると僕を思い出し、僕に構ってほしい、僕に尽くしたいといった反応を見せてくれる。
こういう寝不足ならウェルカム、と言うかむしろ目がギンギンになる。
これからもどんどん彼女はその才能を活かし、どんどん素敵になっていくだろう。
僕はこの世に1人のヤンデレを生み出すことができたのだ。
僕はその実感を噛み締める。
これは歴史的快挙であると言えるだろう。
僕は、たまたま彼女と放課後出会ったことで、最後のスパイスである、
【彼女の過去の受け入れ】
を行うことができたのだ。
それが、結果としてこの一押しが彼女をヤンデレとすることに繋がり、彼女は生まれ変わった。
やったーーーー!!!
では、彼女と恋愛関係になったのかと言うとそれは違う。
僕と彼女は友人関係のままだ。
今回は、彼女に友人が少なかったため、友人関係の僕に執着することで、その才能を開花させることに成功した。
もしかしたら、彼女は少しの恋愛感情を抱いてくれているかもしれないが、言われてはいないこの段階で踏み出すと、せっかく開花した才能が崩れてしまう可能性もある。
しばらくはこの関係のまま、彼女の才能を定着させる必要があると僕は考える。
それに、彼女を恋人としてしまうと、まずいことがある。
それは、彼女以外のヤンデレを生み出すことができないこと。
僕にはこの世にヤンデレを生み出すという使命がある。それなのに、恋人がいては、ヤンデレに非常に不誠実だ。
そんなことはできない。ヤンデレを傷つけることは万死に値する。
だから、僕はこれからも奮闘する。
この世に出来るだけ多くのヤンデレを生み出すために!!
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