第5話 依存型の才能を開花させたい step5 ヤンデレのスパイスを加えていく

よし、これからはヤンデレ才能を開花するステップへと変更していくか。

ここからがはっきり言って本番だ。


まず、依存型の特徴として、1人になることが怖いため執着しがち、というものがある。

だからまずは、友情的にしろ恋愛的にしろ、僕が彼女のみのものではないのではないか、と思わせる必要があるな。

そうすればおそらく、自分だけを見てほしいという気持ちを引き出すことができると思う。


しかし、どうすればいいのか…。

その思いを抱かせるには、彼女以外にも親しい人がいる、と言うことを見せる必要があるな。

僕は、幸いにも友達が広く浅い方であるから、彼女以外と親しくしている姿を見せることは容易い。とりあえず、彼女以外と話す時間を増やしてみるか。


あとは…家にいる間にも何かスパイスが欲しい。

せっかく連絡先を交換してあるのだからそれを生かさない手はない。

よし、連絡は出来る限り早く返す。

そうすれば、連絡はすぐ返してくれるのになぜ昼間は私と話してくれないのか、といった差が見えやすくなると思う。


とりあえずまず、スパイスはこれでいくか。


うーん、うまくいくかはわからない。

彼女に才能があると言うのは、僕が勝手に思っているだけだし、そもそもヤンデレが作れるのかはわからない。

もしうまく行かなければ、これは彼女と僕のこれまで築いた関係性を壊すことに繋がるかもしれない。


しかし、いずれにしろこのままでは彼女は僕としか仲良く慣れないし、彼女の魅力が伝わらないまま時間が過ぎ去ってしまうかもしれない。


それはもったいない!

彼女がより魅力的になるには、この世にヤンデレという、無形文化遺産を生み出すには、僕が頑張るしかないのだ。

僕は決意を新たに学校へと向かった。


まず、一つ目のスパイス。

挨拶はするけど、毎朝の日課となっている本の話をする前に誰かに話しかける。


「おはよう」

と僕が言うと、彼女は待ってましたとばかりに

「おはよう」

と笑顔で言ってくる。

うっ、この笑顔を、今裏切ることが苦しい。

でも、君のもっといい笑顔を生み出すためだからね。


僕は挨拶をするや否や、違うクラスメイトのところに向かった。

ちらっと彼女の顔を見ると、少し寂しそうな顔をしていたが、すぐに読書にもどってしまった。

うーん、あまり効果はないのか?


そもそも僕と彼女は、朝以外あまり話さない。

朝には小説の話をするが、それ以外の時間は僕も他に友達がいるし、小テストの勉強をしなければならないこともあり、あまり話すことはない。


つまり、朝の時間を逃すとほぼ一日彼女と話さないことになってしまう。

朝に話さないというのは変化があることであるが、朝以外に話さないというのは普通のことで、効果があるかどうかが判断しかねる。


うーん、とりあえず数日続けてみるか。

やってみるしかない、これでダメならまた別の方法を考えよう。


しかし、僕の不安とは打って変わって少しずつ変化が出てきた。


彼女も初めの方は、僕が友達に話に行っても、あまり見ずに本を読んでいた。しかし、数日と続くと、僕と友達の方をチラチラとみるようになり、

朝以外にも僕に話しかけようとする素振りが見られた。


おぉ!これは大きな成果じゃないか?

彼女が僕のことを気にしている。

この方法は、ただの恋愛の押してダメなら引いてみろ作戦にみえる。

しかし、それでいいのだ。

ヤンデレは、恋愛を進めていく中でバレることが多い。

つまり、ヤンデレの才能を持っていると、普通の恋愛関係構築の過程で、ヤンデレが発生する可能性が高いと言える。


だから、普通に恋愛をしていく中でただの恋愛関係となるか、はたまたヤンデレ誕生となるかはその人才能に起因するのだ。

つまり、ここがヤンデレを生み出せるか、生み出せないかの大きな瀬戸際となるであろう。


そして僕は、彼女にこんな連絡をとった。


『最近、あまり話せないね。せめて、SNSでは話そうよ』

と。


すると、彼女はすぐに返信を送ってきた。

そこからは僕と彼女のラリーの開始。

秒で返し、返されるメッセージ。

そうそう、これが必要なのよ。これからのスパイスには。

あと一つのスパイスで開花させられるといいけど。

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