第1話 依存型の才能を開花させたい ステップ1 才能探し

僕は決意を固めて、心新たに教室へと向かった。

ふむ、まずは依存型の才能があるような子を探すか。


ところでヤンデレにはいくつか種類があるのをご存知だろうか?

まあ、公式ではないかもしれないが、一般的に8種類あると言われている。


その8種類とは、

依存型、独占型、崇拝型、妄想型、攻撃型、他者排除型、ストーカー型、無害型である。


今回は、まず依存型について説明していこうと思う。

これは、自分に自信が持てない、1人になるのが怖く、執着しがちと言った特徴が当てはまる。

これはヤンデレに最も多いと言われるタイプで、いわゆる恋愛思考主義。

恋愛をしていないと自分ではないと思っているタイプだ。


自分に自信がないからこそ、自分を認めてくれた人をとことん愛する。1人よりも2人がいい。

愛している自分も好き。

なんと素敵な個性であろうか。

僕はうっとりしてしまう。


おっと、うっとりしている場合ではない。

ところで、依存型の才能がある子というのは一体どんな子であろうか。

例えば、自分の見た目に自信があある、明るい人生を送ってきているという人や、恋愛よりも友情を大切にしたい、という人はこの才能があるとは言い難い。


一方で、自分の見た目にあまり自信がない、少し暗い過去がある、友達が多い少ない関係なく、恋愛が友情よりも比重が大きくなりがちな人、といった特徴を持った人が、才能のある人だと言えるだろう。


ふむ、そう言った観点を持ちクラスメイトを見てみるか。


僕は周りを見渡してみる。

入学してから1週間ちょっと経っているため、ある程度グループができ始めている。

いわゆる1軍といった派手目のグループから、少し賑やかなグループ、静か目グループ、そして1人達。


ちなみに僕は、グループに入っていたり1人でいたり。結構、ヤンデレ候補を探しやすい位置関係を築いているといえる。

最初のポジションはバッチリだ。


うーん、やっぱりみてるだけじゃわからないか…。

そう思っていると、

シャーペン落とす

と言うと彼女はさっとどこかに行ってしまった。


ふむ、彼女は人見知りする性格なのか、あまり周りの人とうまく話せていないようで、いつも1人でいる。


1人が好きな人もいるとは思うが、彼女はいつも周りの目を気にするようにしていて、1人でいることは苦手なのではないかと思う。


そんなことをぼーっと考えていると、


「高城どうした?ぼーっとして」

とクラスメイトに話しかけられた。


「いや、杉沢さんっていつも1人だなと思ってさ」

と僕が言うと、

彼は色々教えてくれた。


中学時代にいじめに遭っていたらしいこと、その噂で、クラスメイトもどう話しかけたらいいか迷っていること…。


そうか、だから彼女は周りに積極的にいくことができず、いつも自信なさげな表情をしているのか。


それはもったいない!

彼女のあまり自信がないところは、自分を大切にしてくれる相手をより愛するきっかけにすることができる!

少し暗い過去だって、理解してくれる人に出会えれば、より今の自分を好きになり、相手を愛することにつなげることができる!

そしてそれらは、もっと素敵な彼女を生み出す糧となるのだ!


僕は彼女の、ヤンデレ依存型才能を開花させることに決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る