第10話仲直り

「起きてください。今日はまた戦場に向かわれる日でしょう。」

「んん〜あと5分だけ」

「…テルさんを迎えに行くんじゃないんですか?」

「そうじゃん!救護室に迎えに行くって言ってたんだった!」

「どうぞこれを、」

「おお、さんきゅ」


彼女は俺に置いていたロケットペンダントを渡して「いってらっしゃい、歩夢君」と言ってくれる。


「ああ、行ってくるよ」


そう言って急いで走っていく。

メイドがいるって幸せだな〜なんかなし崩し的になったけどちゃんと尽くしてくれるし嬉しいもんだな。


「お邪魔します。昨日は急ですいません。」

「あぁ昨日の君ね。今は寝てるけど、君が

今日君が彼女を殴ったって言ったからさっきおきてたから事情を聞いたんだよ。」

「そうなんですか...」

どうやら君はその身体の持ち主とは別人なんだね。

だから、前の君がやった事は君に罪はない。それにこのままだったら彼女はおそらく死んでいただろう。

君は前の君とは違って優しい人なんだね。」

「まぁ、正直私はね彼女の言うここより科学が進んだ世界はどんなのか教えてくれないか?」


と目をキラキラさせながら聞いてきた。

テルのやつ言っちゃったのか。何か言っちゃ悪いけど面倒臭そ。


「それはポンポン出したらこの世界が歩むはずだった歴史や技術が生まれない。

徐々に人の技術を積み重なる事により素晴らしい科学がうまれ!」

「別に私たちが積み上げる必要はなくない?君達が積み上げた物で良いから教えてくれよ。」


めちゃめちゃ正論言うやん。そんなん、俺ら頑張りぞんやん。

そんなことしたら色々面倒そうだけど

まあ、少しぐらいならいいか。そう考えた俺はテルが起きるまで彼女に前の世界の事を伝えた。


「それじゃあ!人間の体はサイボウと言う

無数の生命体の集まりなのか!」

「まぁ、そんな感じです。」


とすごい質問攻めにあっていると、


「あれ。ここは…そうだヘルっ」

「落ち着いてテル、大丈夫。ここにヘルはいないよ。昨日襲われてたところを見つけてね。俺がヘルに注意しといた。」

「ありがとう」


そう言って抱きついてくる。看護師さんはヒューと口笛を吹く。


「本当に怖かった。ありがとう助けてくれて。」

「こっちも...前の俺がテルを虐めてたのを昨日知ったよ。ごめん。俺に、そんなだった俺に話しかけてくれてありがとう。そんな俺と仲良くなってくれてありがとう。」

「もう良いよ。だって、あなたは私を救ってくれた、助けてくれたんだから。

ルイスは私のヒーローなんだから、カッコいい私だけのヒーロー」

「うん、そうなれるように頑張るよ。」


これで事態が終われば良かった。


「ちっ!ルイスじゃない奴が私に偉そうに説教垂れ上がって!私なんかよりあんなブスが良いわけ?理解できないわ!絶対、絶対私の方が良いのに!あんな奴ぶっ殺してやるわ!」


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