第8話肉じゃが!

「ルイス、誰よその女…」


とヘルは料理を作っている2人をテントの隙間から覗きながら呟く。

じっと見ているとある事に気づく。

あの子、手が義手だ。でも戦争に行った子で

あんな子はいなかったと思うけど。


「女の子にメイド服着せるのが趣味なのかな?」


そんなあらぬ誤解をされているルイスだったが


…そこから誰か覗いてるよな…

…はい。確実に覗かれてますね。…


とバレバレなことにも気づかずに覗き続けるのに痺れを切らしたようだ。


「あなた、何の用ですか?入るなら入るで覗くなら覗くでバレバレの覗きはやめて下されますか?」

「えっ、あ、すいません!」


そう言い残すと声でヘルとバレバレなのに

必死に顔を隠して彼女はどこかに走って行ってしまった。


「覗くのだったらもっと大胆にすれば良いのですが...」

「いや、それされると俺が迷惑なんだけど、そんなメイド連れてくる事を良しとしている訳でもないからさ。」

「確かに、そうですね」


ガイアはふふふと笑う。

何かガイアってお淑やかな令嬢感あるよな。

テントに勝手に入ってきてたし。

今野菜切ってるのもいかにも慣れてない感あるし...


その後はヘルが来ることはなく集中して料理を作ることが出来た。


「鹿っぽい奴のステーキとサラダと肉じゃがの完成だ!まさかこっちにジャガイモがあるとは思わなかったぜ。」

「ジャガイモ?あぁケルトの事ですか。

ケルトはそちらの世界にもあったのですか?」

「あぁあっちでも色んな料理に使われてたからこれで作れる料理の幅も広がる。」


他にもレタスやニンジンなどはあるっぽい事言ってたから今度作るのが楽しみだ。


「じゃあ今から俺はテルに肉じゃが届けてくるから、次俺がいない時に誰か来たら今出かけているのでいらっしゃいませんとでも言っといてくれ。」

「了解いたしました。」

「おお、頼んだぞ」


そう言ってテントを出る。


「ルイス!昨日凄かったらしいな!お前の活躍見てみたかったぜ!」

と言ってくれる同い年ぐらいの男がいた。


「あぁ、小さい子供もいたからちょいと辛いものもあるがな。」

「戦争して特になんて得にならんのに何でやるのかね。おっ、うまそうな匂い!その蒸したケルト食わせろ!」


と手を伸ばしてくるので華麗に避ける。


「おいおい!ちっとぐらい、食ってもいいだろうがよ!」

「俺のだったら食わせてやってたがな、これは届け物だからな。」

「へぇー?ヘルにか?」

「何でそう思うんだ。」

「お前ら付き合ってる噂あるの知らねーのか?」

「そうか。残念だが俺はそう言うの気にしないからな」


中学生のとき同じようなこと言われてうかれて告白して振られた経験はもはや黒歴史だ。

夕陽が沈みそうなので俺は走って届けに行く。

うっ、思い出したら目から海水が...


「着いたぞ。テル」

そう言って入ろうとすると。

「やめて!入って来ないで!」

そう俺に言う声は明らかにテルの声では無かった。

「何でだよ。と言うか何でヘルが…」

そう言って中を見ると

テルの首を絞めているヘルの姿があった。


昨日は小説を出せずすいませんでした。

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