第34話 彼女ができました
彼女ができても僕の学校での立ち位置は何も変わらない。今まで特に接点がなかった
ただ、僕のわがままで後輩、
あまりにも自分にとって都合良く話が進みすぎて恐怖すら覚えている。
さすがに後輩の帰宅を何度も遅らせるわけにはいかないので部活前に待ち合わせをした。
「えっと……部活前にごめんね。でも、
隣に立つ
この手がもなさんだったら……そんなことを考えていても許してくれる
母親のためにここまで優しくなれる
これは、かわいい後輩への手向けだ。
「僕のことは諦めてほしい」
「そう……ですか。さすがに彼女さんがいる人にぐいぐい攻めるのは違いますよね。あはは」
彼女がいるのに熱烈なアプローチを続けられても正直困る。卒業まで先輩と後輩の関係でいられるのが一番だし、彼女もちの男にアピールをするのは周りの女子から見てあまり気分の良いものじゃないだろう。
吹奏楽部は女子が多いから、かわいい後輩を守る意味でも僕と
「うん。ずっと言ってるけど、
「……イヤです」
「え……さっき彼女がいる人に攻めるのは違うって」
「はい。だから攻めるのはやめます。だって、ぐいぐい攻めるママって
「きゃはは。おもしろい後輩ちゃんだね。でも、ママを悲しませるのだけは許せないよ?」
「え? 先輩、彼女をママって呼んでるんですか?」
「ち、違う。これには複雑な事情が」
事実は異なるけどそれで
「きゃはは。そうなんだ。同い年の彼女をママって呼ぶなんて変態さんだよね」
「つまり年下のママもアリってことですよね」
「うわぁ、後輩をママって呼ぶなんてすごい変態。さすがの私の引いちゃうな」
「呼ばないよ。そもそも
ドン引きさせて
「
「ケンカもしないし
「幸せになるのだけが恋愛じゃないってことですよ。辛いからこそ燃える恋もあるんです」
「きゃはは。後輩ちゃんはオトナだね」
「クリスは絶対に先輩を諦めませんから! あ、秘密をバラして先輩を追い込むってことはしないので安心してください。そういうのはズルなので。それでは、また部活で」
機敏に敬礼をしたかと思えば楽器ケースを背負い部室へと小走りで向かっていった。ちょこちょこと動く姿は小動物みたいで可愛らしい。
あんな姿を目撃したら絶対に一人や二人、いや、もっとたくさんの男子が
ろくでもない男でなければその恋を応援したい……って、僕は
「
「えー? 先生とエッチしてる身分でそれ言っちゃう?」
「そ、それだって不可抗力なんだ。
「ごめん。電話だ。……誰だろ。知らない番号だ」
あとで電話番号を検索して怪しくなければ降り返せばいいのに、
無防備というかお人好しというか、そんな危ういところがもなさんの母性を育てたのかもしれない。
子供を見つめる優しい眼差し。もなさんの息子に生まれ直すことはできないけど、義理の息子になることはできる。
息子役なんかじゃない。堂々と息子だと宣言できる立ち位置。
「はい、もしもし。え……ママが」
一見すると普通の青春。その裏ではまるでAVみたいな思惑がうずまいている。
歪んでいるけど表向きは平和な僕と
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