第4話 撮影と母性2

「れおくん、体は小さいのにこっちは大きいんだね」


「そうなの?」


「うん。ママ、いろんな男の人のを見てきたけどれおくんはその中でも特に大きいよ。自信を持って」


「うん!」


 僕はもうもなさんの恋人になることを諦め、もなさんの子供になる道を突き進んでいた。

 敬語を使わずまるで本当に母親と接するように自分の感情を素直に表現する。


「ママとエッチなことがしたくてこんなに元気になってるんだぁ。可愛い」


「可愛いじゃなくてカッコいいって言って」


「ごめんごめん。大きくてカッコいいよ」


 修学旅行の代わりに日帰りの遠足になってしまったので同年代と大きさを比較する機会には恵まれなかった。

 映像の中ではモザイクが掛けられているので通常よりも大きく見える。お世辞なのかもしれないけど、もなさんに大きいと言ってもらえたのは素直に嬉しかった。


「ママのお洋服も脱がせてほしいな。女の子の大事な部分、見たことある?」


 大きく首を横に振るともなさんが微笑んだ。

 モザイク越しでしか見たことのない秘部とようやく対面できる。対面したあとはもなさんに任せればいい。

 その安心感が緊張を和らげてくれた。


「なんか恥ずかしいかも。汚くて引かないでね」


「ママに汚いところなんてないよ」


 スカートがストンと重力に従うと、残されたのは黒いレースの下着のみ。

 布の面積がかなり小さく、大事な部分を隠すという本来の目的はほとんど果たしていない。


「いくよ。ママ」


「うん」


 両端を掴みゆっくりと下着を脱がせると控えめなアンダーヘアが現れる。

 モザイク越しでも黒い部分がかなり小さいと感じていたのでここまでは想像通り。

 だけど保健の教科書でしか見たことがない複雑な構造の部位はその向こうに隠されている。


「そんなにジッと見つめないで。さ、シャワー浴びよ」


 観察もほどほどにシャワーへと導かれる。

 こうして誰かとこの浴室に入るなんて母さんが生きていた時以来だ。

 人肌のぬくもりを感じているとシャワーがいつもよりぬるく感じる。


 僕の相棒はすでに臨戦態勢で、いつでももなさんの中に入ることができる状態だ。

 あまり広くない浴室で体を密着させてシャワーを浴びているとうっかり挿入してしまうのではないかと心配になる。


 童貞なので当然性病ではないしその証明もきちんとしている。

 そしてそれとは別に妊娠のリスクを考えればこのあときっとゴムを装着する。

 経験はないけどもなさんがリードしてくれるはずだ。


「ママ、れおくんの舐めたくなっちゃった」


「え?」


「ん……」


 もなさんは突然しゃがみだし、躊躇うことなく僕の分身を口に含んだ。

 くちゅくちゅといやらしい音が立ち、生暖かいもなさんの口の中でさらに大きくなっていく。


 自分の手が空いている状態で相棒が刺激を受けるという未知の経験に早くを限界を迎えそうだった。


「ママ、出ちゃ……出ちゃいそう」


「いいよ? ママのお口にいっぱい出して」


 もなさんは首を前後に激しく動かす。

 たまらず頭を押さえても腕に力が入らずその勢いを抑えることができない。


「あぁ……あっ!」


 目の前が真っ白になる。同時に腰がビクビクと細かく動く。

 普段ならこのまま少しずつ萎んでいって、ティッシュで後片付けをする時間だ。

 でも今は違う。もなさんは僕の相棒をしゃぶったまま口の中でコロコロと転がす。時折強く吸引されて、それと同時にもなさんの喉がごくりと鳴る。


「ぷはぁ……れおくんの全部飲んじゃった」


 口を大きく開けて中を見せるもなさん。その中には大量に発射したはずのものが何も残されていない。


「あんなにいっぱい出したのに、れおくんまだまだ元気だね」


「へ……?」


 恍惚な表情を浮かべて僕の下半身を見つめるもなさん。その視線の先に目を向けると発射直後とは思えないくらいに大きく怒張していた。


「ベッド、行こうか。案内して」


「うん」


 僕の寝室は2階にある。恋人繋ぎをして階段を一段一段ゆっくりと登る。

 今日はもなさんの子供になろうと決めたけど、この時間だけはまるで恋人のような感覚を味わえた。


 自分の部屋にもなさんがいる。それだけで嬉しい。

 勉強している机、ゲームをするテレビ、もなさんの動画を見るパソコン。

 僕のプライベートが詰まった空間に、もなさんがママとして存在している。


「れおくん。ベッド座っていい?」


「うん」


 もなさんの地肌がベッドに触れている。今日という日が終わっても、ここにはもなさんがいた。それを思い出すだけで僕は果ててしまうかもしれない。


「…………」「…………」


 二人の間に言葉はなかった。見つめ合い、自然と唇と唇が重なり合う。

 初めてのキスみたいに舌が激しく動くのではなく、お互いの気持ちを伝えあうかのように絡み合うキスはそれだけで気持ち良い。


 怒られないか不安になりつつもキスをしながらもなさんの胸を揉むと時々吐息が漏れた。

 どれくらいの時間こうしていただろう。もなさんの方から唇を離してキスは終了した。


「生で、していいよ」


「え? ……ほんと?」


「れおくんの全部、ママの中に出して」


 もなさんからの提案に僕は判断力を失った。

 相手の方から生で良いと言ってくれた。しかももなさんが童貞の僕をリードする企画。

 彼女の指示に従うのが円滑な撮影に必要なことではないか。

 この後のことは全部もなさんに任せればいい。なぜなら僕はもなさんの、ママの子供なんだから。


「ここにれおくんの、入れて」


 もなさんが脚を開くと生々しい肉体が露わになる。

 知識としては頭に入っていたけど初めて見る実物はまるで別の生き物のようにひくひくと動き、神秘的に濡れていた。


 映像で見たのと同じように、固くなった自分の相棒をゆっくりともなさんの秘部に当てる。

 そのまま腰に力を入れて前進させると、入口部分で拒まれたのがウソのようにぬるぬると吸い込まれていった。


「童貞卒業おめでとう」


「ありがとう。ママ」


「どう? ママの中は?」


「あったかい。すごい。自分の手とも、ママの口とも違う。こうしてるだけでどんどんエッチな気分になる」


「動いて、いいよ。れおくんの思うままに」


 もなさんの言葉と深澤さんの言葉が重なる。

 僕の想いと欲望をぶつけていい。監督も本人もそれを認めてくれた。


 もなさんの体に体重を預けて胸に触れ、時には突起部に吸い付きながら僕は思うがままに叫んだ。


「ママ!! ママッ!!!」


「あ゛あ゛!! い゛い゛!!! れおぐん゛!!!」


 獣のように腰を振るとそれに呼応するようにもなさんが喘ぎ叫ぶ。

 もしかしたら近所の人に聞こえているかもしれない。

 だけど構うものか。僕は今、ママと一つになっている。


 その幸福感で頭がいっぱいになって、他のことはどうでもよくなっていた。


「うあ゛!! 出る!!!!」


***



 そこからの記憶は何も残っていない。

 ママの、もなさんの胸に抱かれながら意識を失ってしまった。

 30分ほど寝てしまっていたらしい。

 その間、ずっと挿入されたままでもなさんは僕の頭を撫で続けていてくれたそうだ。


 本来ならありえない近親相姦。それがAVの世界では当たり前のように存在している。

 そんな夢みたいな体験が終わればスタッフさんは機材を片付けて一気に現実へと引き戻される。


「童貞、あたしみたいなおばさんで卒業してよかったの?」


 玄関で迎え入れた時よりも少し疲れたその横顔が妙に色っぽくて、映像では見られない素の表情を見せてくれた気がして嬉しくなった。


「おばさんだなんて、もなさんはすごく綺麗で、それに……」


「それに?」


「ま……ママ、だから」


「ふふ。またママの動画でいっぱいシコシコしてね。今日のことを思い出しながら」


「は、はい!」


 耳元でささやかれるだけで相棒はぴくんと反応する。

 もし気を失っていなければ2回戦に突入できたかもしれないと思うとちょっと残念だった。


 服を着る気にもなれず、僕は反対に身なりを整えたもなさんを全裸のまま見送った。

 深澤さんもいい画が撮れましたとか何か言っていた気がするけど細かい内容は覚えていない。

 

 とりあえず生でしてしまったことについては特にお咎めはないようだった。


「はぁ……」


 食べたいものが何も浮かばず、結局全裸のまま夕食も摂らずに一日が終わろうとしていた。

 あれだけ体力を消耗したはずなのに、もなさんの胸の中で30分寝ただけで全回復したかのように不思議と眠くない。


 このベッドで僕はもなさんと……今日味わった興奮でこれから先の人生を全て乗り切れそうな気すらした。

 自分以外の匂いが残ったベッドに顔を埋めると、2度も盛大に発射したのにまたムクムクと欲望が大きくなる。


「ああ、幸せだな」


 心からそう思った。

 だけど、人生はそう甘くはない。


 2か月後、僕はそれを痛感することになる。

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