第4話

 その後、何人かに告白され「他に好きな人がいるんで…。」と同じセリフで答えた。あれから大きなトラブルにはなっていない。


 だけどそのせいか、俺と姫里が付き合ってるという噂が流れはじめた。


 2年生の晩秋の頃、帰り道に姫里と二人だけになった。

 俺は“やっぱり付き合ってる”とか噂するんだろうなーと思いながら並んで歩いた。


 姫里が突然、

「ねえ蓮さ、温森さんに告白しないの?」と聞いてきた。


「え⁉︎な、何?突然。何で俺が温森さん⁉︎」

俺は不意を突かれ、すごく焦った。


「分かりやすっ!」

フフッと姫里は笑った。そして、

「蓮見てれば分かるよ。すごく分かり易いから。」


 え?“見てれば分かる”って…やっぱり俺の事、好きなのか?と思った。


「言っとくけど私、蓮は恋愛感情じゃないからね。」


 ん?姫里って俺の事好きなんじゃ…?


「私さ、実は藍山のこと、ずっと好きなんだよねー。」


「えっ?えっ?えっ?藍山⁉︎」


「うん、なんかさー昔から、私が蓮のこと好きっていう噂あるけど、違うよ。」


「あ、そうなの?そんな噂…?」

俺はとぼけてみたけどバレバレだった。


「私ね、皆でいるのが楽しいし、このグループを変な感じにして壊したくなかったから悩んでたんだけど、もう中2じゃない?やっぱり付き合いたいって思っちゃって。

 でも最近蓮と付き合ってるっていう噂まででてきて…、もし他の人に取られるなんて絶対嫌だし。」


「そっか。告白するの?」


「うん。もしさ、告白して変な空気にしちゃったらゴメンね。

 でさ、告白仲間っていうか、蓮もどうかなー?って思って。」


「あーそっかー。でも俺、告白とか…まだ無理かなー。」


「えー?告白してみなよ!玉砕したら慰めてあげるから。その代わり、私が振られたら逆に慰めてね。」


「お、おう!でも、藍山はきっと大丈夫だよ。」


「うーん、ま、頑張ってみる!」


 告白かぁ。


 できるか?俺に、できるか?

 いやー…。

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