第3話

 小学生の頃は、イケメンとは言われてたけど、はっきり告白されたことはなかった。


 中学1年生になって少ししたら、どんどん身長が伸びてきて中学生らしくなり、秋の学校祭あたりから、ちょこちょこ告白されるようになってきた。


 初めて告白されたのは、1つ上の2年生からだ。

「放課後、体育館裏に来てほしい」と呼び出された。


 正直、理由も分からないし嫌だったが、上級生なので断ることもできなくて、ちゃんと指定された場所に行った。


 先輩は開口一番、


 「好きです。付き合ってください。」

と告白してきた。


 超ストレートな告白で、俺はすごく狼狽した。

 どうしよう…これは、何て答えたらいいんだ?


 俺は沈黙の、返事を待ってるこの空気に耐えれなくて、早く返事しなきゃと焦った。


「あ…すみません。俺、興味無いんで…。」


と言ってしまった。

 “誰かと付き合うという事に興味が無い”と言ったつもりで、自分でもちょっと違和感があったけど、他の言い方が思いつかなかった。


 先輩は「酷い…!そんな言い方…。」と言って泣き出し、逃げるように走り去って行った。


 やっぱりマズい言い方だったんだ…。と思ったけど今更どうしようもない。


 それからしばらくして、同じサッカー部の先輩が、俺に対して物凄く厳しい扱いになってきた。


 俺は最初ワケが分からなかったけど、どうやらこの告白の件で、女の先輩を物凄く傷つけたことが原因だったらしい。


 サッカー部の先輩は、その先輩の幼馴染で、話を聞いてすごく俺にムカついたみたいだ。


 俺はサッカー部の先輩にひたすら謝って、誤解を解きなんとか許してもらったけど、今度こんな事があったら困ると思った。


 俺は悩んだ挙句、今度から『他に好きな人がいます。』と言うことにした。


 多分、これが一番無難な答え方なのではないかと思った。

 

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