第9話 本題
「う〜ん、どんなダンジョンがいいんだろ?」
「どんなダンジョンでも良いと思いますが攻略者がこの先訪れるのであればある程度侵入を拒めるような構造にしないとすぐに最深部まで来られてしまいます」
「まぁ、最深部まで来たら私たちの負けみたいなもんだもんね」
あれから数時間と少し寝て、完全復活した私と月華は新しく作るダンジョンについて話し合っていた。
「しかし、このステータス画面にヘルプ機能があってよかったよ。何もわからないままで穴だらけのダンジョン作ってたら間違いなく終わってた……」
「ま、まぁ見つけただけでも良かったとしましょう……」
実はこの少し前に勢いに任せて作ったダンジョンを召喚したスライムに攻略させたらものの数分で最深部まで到達されてしまったのだ。
「あれはひどい事件だった……」
嘆いても仕方ないので棚にブチ上げておく。
「どんなダンジョンにします?マスター」
ダンジョンの形状と構造にはいくつかの種類がある。
1つ目が多分一番知られているであろう【洞窟型】だ。ドワ○フ遺跡とかね。
2つ目が次に有名な【塔型】だ。アイン○ラッドとかね。
3つ目がどうやって防衛するのかわからないが【フィールド型】だ。マジでどうすんだぁこれ?
4つ目が【迷宮型】だ。『ダンジョンは迷宮だろ?』という、ツッコミは受け付けない。だってあるんだもん。私に言われても困る。
5つ目が【城塞型】だ。多分これが一番かっこいい。また城塞、つまり砦であるため防衛がしやすいと思われる。
え?城塞は外からの攻撃から身を守るためのもの?細けえこたぁいいんだよっ!!
「ここは山の頂上なので城のほうが良いかも知れませんね」
「そうだね。でも構造でミスると何選んでも面倒くさいことになると思うから慎重に考えないと」
ヘルプページを閉じ、ダンジョン作成をタップする。
「まず、城の外見を決めないと」
それから少し経ち、
「で、出来た……まさかこんなに時間がかかるとは思ってなかった……」
「お疲れさまです。マスター。晩餐の準備が出来ております。こちらへどうぞ」
「あっ月華待って、作ったから見て!!」
ステータス画面を可視化し、月華に見せる。
「マスターが作ったとは思えないですね。どこからパクっ……借りてきたのですか?」
「今パクったって言いそうになったよね?……まぁいいけどパクったの事実だし」
そこにはドイツのホーエンツォレルン城を彷彿とさせる少し異世界チックに改変された白亜の巨城があった。
「これどんな素材で作るつもりですか?これ程綺麗な白い建材は無かったはずですが……」
まだ中世故にか白い建材が少ないらしい。
「この城の建材は絶対零度で凍ってる永久凍土の氷だよ」
「本気で言ってるんですか?そんな素材私が昨日作成した時には無かったと思うのですが」
「多分種族ボーナスだと思うよ。知らんけど」
種族ボーナスは実はある。そもそもあのピックアップでメイドさんが出てきた時点で存在していた。
【
そのためその2つを有していた月華、【クリスタルライトシルキー】が出るのはほぼほぼ必然であった。
しかし、それをリティシアは知らないし、知ってもふ〜ん程度にしか思わないだろう。
「次は内部構造だけど……先にご飯だけ食べちゃおっか」
「そうおっしゃってくれてありがとうございます。そのまま続けていたら引きずってでも連れて行くつもりでしたので」
コワっ
月華はあまり怒らせないようにしよう。
そう心に決めた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
あれから一週間が経過した。
「とうとう、とうとう完成したぞっ!!」
「ついに、ついにですかマスターっ!!」
少し熟れてきた手つきでステータス画面を可視化する。
そこには全50層、空間が拡張され広くなった城の内部が映されていた。
「ホントは城内部を防衛拠点にしようと思ったんだけど流石にこの構造と大きさでは小さくなっちゃうから山をダンジョン化しちゃった」
「確かにこの広さでは少々無理がありますしね」
「まぁね。今は山の高さ上この程度だけど、50層ボーナスで地形改変が追加されたからDPを貯めて山も一緒に拡張していくつもり」
「まだまだ課題はありそうですが取り敢えず完成を祝いましょう!!」
「そうだね。あ、その前に名前をつけておこう。……そうだね、この城の名前は……【
きっとこの話は永久に人々の間には広まらないだろう。
今日誕生したこの巨城はこれから先何千年と主とともに世界を見守っていく。
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