第3話 転生したら即封印された件。

 目の前にあのムカつくクソジジイはもういない。


 理由は簡単


 ろくに人の話も聞かないで無理矢理中世ヨーロッパどころか紀元前の世界へ転移させられたからだ。


 それもやられ役として。


 私も何が起きてるか全く分かっていないが取り敢えずあのジジイは必ず殴る。ボッコボコにしてやる。


 しかしそれをやるにも力は必要だし、何よりもこの世界の情報を得ないと何も始まらない。そして私は楽に生きたい。


 この3つを成し遂げるには非常に遺憾だがダンジョンを作る必要がある。


 まず力を得るためにはあまりやりたくはないが戦う必要がある。


 でも私は怪我もしたくないし死にたくもない。ならばどうするか。


 答えは簡単、私がダンジョンマスターになって戦える存在を出し、私に怪我をさせないように戦闘訓練を行うのだ。


 要は温室育ちの促成栽培ってところ。


 残り2つは単純にダンジョンを作ればその支配域?の把握は絶対にできると思うから適当な街を支配下に置いてしまえばどんどん情報は入ってくる。さらに、きっとダンジョンを作れば地球の色々な物品は出てくるはず!!

そうすれば私は必然的にあらゆる生活動において楽ができる!!


 エロ……偉い人がそう言ってたし!!


 というわけでダンジョンを作ることが決定した。


 「でもここは立地が悪すぎるわね。洞窟だし。文明レベルが紀元前だから間違いなくここには当分来れないだろうし、もしダンジョンポイントがあるのならばそれは間違いなく死活問題だしなぁ…… 何より人と関わらずに何年も過ごせるほど私の神経は図太くない!!」


 人を呼ぶには古来から伝えられている伝統的なやり方がある!!


 それは……目立つものを作ること!!


 目立つ建物ができれば好奇心で覗きに来るやつが必ず出る。


 やってきたそいつに自分が無害であることを示せば人と関わっていけると思う。


 「そうと決まれば早速遠くからも見えるように高いところに移動しよう!!」


 風と少しの光を頼りに人の手が入っていない洞窟の中を歩いて行く。


 「こんな景色間違いなく地球では見れないだろうなぁ~」


 一時間くらいだろうか、洞窟の中を進みやっと出口に辿り着いた。


 光が少し眩しくて、目を薄めつつ前を見ると凄まじい山々の偉観を望んだ。


 「っ!!凄い景色!!こんなの見たことがない!!」


 富士山は勿論、もしかしたらかのエベレストよりも高いかもしれない山々を見て息を呑んだ。


 こんな景色を見てしまうと"本当に異世界に来たんだな"と嫌でも納得させられてしまった。


 「……これを見ちゃうと自分の悩みがちっぽけなものに思えちゃうな……」


 そんなことはないと思う。


 少なくとも退職届を出すか出さないかで迷っている人よりかは大きい。


 「ってそんなことよりも目立つ場所にこの玉を置いてダンジョンを作らないと!!」


 いつの間にかポケットに入っていたコアと説明書を取り出す。


 「目立つものといえば……城ね」


 城だったら間違いなく目立つ。


 「どこに作ろうかなぁ~」


 周りを見渡しながら良さそうな場所を探す。


 「この洞窟から入るって感じで作れば面白そうだね。……なら作る場所はこの山の山頂だね。よくよく見ればちょうどいい高さだし」


 なかなか華の女子高生にはキツイ運動だが頑張って山を登る。


 「っと。ここが山頂かな?……よし、ここにコアを置いてっと」


 説明書を読みながらダンジョン化を始める。


 「えぇと、魔力を込めないといけないのか……」


 異世界あるあるな不思議エネルギーをコアに込める。


 『魔力の注入を確認。ダンジョン化シークエンスを開始します……』


 「うわぁっ!!なになに、何が起きたの!!」


 当然喋りだしたコアに驚き、落としかける。


 『気を付けて保持して下さい』


 「あっハイ!!」


 『97%、98%、99%、100%、シークエンスの全行程が終了しました。魔力の注入を止めてください』


 「えっそんな急に言われても分かんないよぉ~」


 突然止めろと言われるがそもそも魔力を扱うこと自体が初めてであるため、どんどん魔力が溢れ出ていく。


 『今すぐ停止して下さい!!これ以上溢れると甚大な被害と環境の変化、及び魔力の暴走が発生します』


 「そんなこと言われたって……」


 止め方がわからないがゆえにどんどんと放出されていく。


 そしてコアの元から氷が広がっていく。


 『魔力の暴走を確認。手動操作に切り替え。創世神××××××に操作を委託。……創世神××××××により対象者の封印措置が確定。封印を開始します』


 「えっえっ、封印って何!?私どうなるの!?」


 『意識の凍結を開始、終了後魂魄の活動を生命維持限界まで低活化を開始します』


 そう告げられ、私の意識は薄れていき、完全になくなった。


 私はいつ目覚めるか分からない眠りについた。


 





 


 

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