第13話 謎の剣

 魔法は終わったので、次は剣の方だ。俺は剣の柄を掴んで拾う。


「お、重い」


 筋力が上がったとはいえ、剣はまだまだ重い。この剣は西洋剣で刀身が黒い。


「アスナ、これを鑑定できるか?」


(既にしております。結果を表示しますか?)


「あぁ、よろしく頼む」



――――――――――


無名


作られて長い年が経っているが、未だ名前がついていない剣。

持ち主と一緒に戦う事で徐々に強くなっていく謎の剣。


固有能力

『成長』


――――――――――



「徐々に強くなっていく」


(そのようですね。マスターと共に強くなる剣。いいですね)


「そうだな。しかし、名前が無いとは不便だな」


(・・・どうやら真名をつける事は出ないようですね。しかし、この剣の呼び名あっても大丈夫かと思います)


「じゃあ、決めるか。えっと」


 俺と共に強くなってくれる剣。・・・成長・・・一緒に・・・・うん、決まりだ。


「じゃあ、この剣の名前はグローウィンズだな。ちょっと安直な気もするが」


(英語で共に成長ですね。いい名前だと思います)


「そうか。まぁ、ともかく、俺にもようやくまともに使える武器が手に入ったわけだ」


(しかし、マスター。グローウィンズはどうやって持ち帰りましょう?)


「・・・あ」


(しかも、どこに置いておくのですか?マスターの部屋に、このサイズの剣が入るスペースありましたか?)


「・・・あ!?」


 そうだった。そこ事を忘れていた。俺の部屋に入るスペースはない。クローゼットは多分入らないし、物置に置いたらリリーにバレる可能性だってある。しかも、両手でギリギリ持ちあがるのに、自転車で漕ぎながらとか無理だ。


「アスナさん、こういう場合に役に立つスキルか魔術ってないのか?」


(ありますが、マスターのSPは0なので取得できるものはありません)


「く、くそ~」


 結局俺は、頑張って片手で自転車を押し、肩には木刀を背負い、もう片方の手でグローウィズを持って歩いて帰った。


 戦闘の後に、こんな事をやったので、家に帰ったのは朝の7時になってしまった。もう、リリーが起きている時間だ。


「・・・さて、どうやって言い訳をしよう」


 俺は玄関の前で立ち尽くすのだった。

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