第3話 ミッションをこなす
外に出てきた俺は、片耳イヤホンをし走る体勢に入る。
「まずは10kmを終わらせるか」
帰宅部なので10kmを一気に走る自信は無いが、休憩しながらならできるだろ。
俺は道路の端を走り始める。しかし、走り始めたのはいいが思ってたより自分の体力がなく、1kmちょいで終わってしまった。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、き、キツイな。2kmは行けると、お、思ったんだが」
息を整えるため歩き始める。あと、これを十回か。帰宅部の俺にはキツイな。
しかしミッションを達成するため、息が整ったらまた走り始める。それを9回ほど繰りかえすこと二時間、
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デイリーミッション『10km走ろう』をクリアしました。
主要ミッション『スキルを使ってみよう』をクリアしました。報酬として『ランダムスキル本』を入手しました。
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「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、よ、ようやくクリアした」
(お疲れ様です)
「う、うん」
疲れで膝に手を置いた瞬間、俺の真下に本が落ちてきた。
「な、なんだこれは」
(それはスキル本です。マスターがクリアしたミッションの報酬です)
「た、たしか、す、スキルを使ってみよう、だって」
けど、俺はスキルなんて今使用してないぞ。なんでこれが貰えるんだ。
(マスターがリリーさんに鑑定した時の報酬です。あの時に渡しているとバレると思い、後回しにしました)
「ふぅ~、アスナってそんな事も出来るのか」
ようやく息が落ち着き、普通に会話することが出来るようになった。
(はい、私『アナウンス』はこのステータスの本体ですから)
「そうなのか」
(はい、私がいないとステータスを見る事が出来ませんし、スキルと魔術を一緒に扱う事は出来ません)
「ん?スキルと魔術が一緒にできない?」
(その説明はご自宅に帰った後にします。今は周囲を確認してください)
「周囲?」
俺は周囲を見渡してみる。すると、近くで俺の事を見ながら会話しているおばさんたちを見つけた。おばさんだけじゃない。俺を近くを通った人は皆、俺の事を奇妙な眼で見てくる。
「ママ、なんであの人は一人で喋っているの?」
「し!見てはいけません!」
Oh~、忘れていた。今の光景を見ていた人は完全に俺が独り言をぶつぶつ言っている人にしか見えないのか。てか、本が出てきたところは見られてないよね。
(大丈夫です。その時は人は居ませんでしたから)
そうなのか。良かった。・・・いやこの状況は良くないな。速く帰ろ。
俺はその場から逃げるように帰っていった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
帰って来た俺は、シャワーだけ浴びて自分の部屋の中に入った。そして、持っていたスキル本を見る。
「なぁ、さっき言ってたスキルと魔法は一緒に扱えないってどういう事だ?」
(はい、まずスキルというのはいわゆる『能力』の事です。この能力を持っている人は魔術を扱う事が出来ません)
「それはなんでだ?」
(能力を持っている人に魔術回路が無いからです。魔術回路とは人が魔術を行使するために魔力が通る筋だと思ってください。これがないと魔術を発動することは出来ません。しかし、これは魔術師にも言えて、魔術師も能力者しか持っていない異能DNAを持っていないからです。これがないと能力をもって生まれたとしても異能DNAが無いので能力が機能しません。なので一緒に扱えないのです。もし、能力者と魔術師同士に子供が産まれても、異能DNAと魔術回路がお互いに疎外しあって使う事が出来ません)
「じゃあなんで俺は使えるんだ?」
(それは私がいるからです)
「・・・説明になっていないのだが」
(これが説明です)
・・・これは深く考えない方がいいな。もしかして俺はこの世で一人だけ魔術と能力が使う事が出来るって事か。・・・あれ?アスナはスキルは能力って言ったよな?
「・・・ねぇ、能力者って能力って基本いくつ持っているんだ?」
(一つです。時々二つ能力を持って産まれることがありますが、能力は一人一つです。魔術師はその人の祖先が継いで来た魔術を得意としますが、他の魔術は苦手とします)
「じゃあ、俺って多重能力者になるのか」
(はい、その通りです。マスターは沢山の魔術とスキルを扱うことが出来ます)
「・・・俺って成長したらかなり強い?」
(はい、強い部類に入ります)
「おぉ!!!!やる気出てきた!!!」
強い部類に入れると聞いて俺の今の目標である。リリーが魔法少女にならなくてもいいようするが達成できそうなったので気合が入った。
その気合の維持したまま、デイリーミッションの筋トレと読書を終わらせた。
ちなみに読書は絵本でよかった。超簡単だった。
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