願いの行方と真実2
想像を絶する疲労を堪えながら、ただひたすらに永夜は数を稼いでいた。その数は、他の誰が見ても異常と見て取れるペースでもあった。まるで何かに取り憑かれたように…妹が良くなることを期待していたかのように…。
彼女が憔悴していることは、他の役人から見ても一目瞭然であった。
「流石にあのペースじゃ倒れちゃわないか…?」
「ちょっと心配だな」
「…見てられない、俺一ついいこと考えた。」
深夜、そこには上位勢の役人たち数人が集まっていた。
「おい、晩年成績一位のカタブツさんよ、今回は譲ってあげたらどーなんだい?」
「譲られたと分かってしまえば、あの子の心はどうなるだろうか考えたのか?」
「これ以上ハイペースに無理させてぶっ倒れられるよりはマシさ。」
「俺を止めたところで、まだ2位や3位のやつはどうするのだ?」
「安心しろ、ここにいる二人がそうだ。お前は周りの奴らなんて眼中ないかもしれんがな笑」
「俺らはあの姉妹の実質ファンクラブ会員みたいなものだし、なんら抵抗はないんだよ、むしろ力になりたい。あの子たちがここに来て、冥界の雰囲気も少し変わったし、皆仕事に昔以上に勤しむようになっている。だからな…。無理にとは言わない。」
しばらくカタブツは考えた後に、結論を出した。
最終順位が出た。
同時に、役人たちには数日の休暇が出されることとなった。
永夜は、真相を聞くべく、一人で閻魔の部屋に向かっていた。
そこには閻魔がただ一人、まるで来ることを予知していたかのように、背を向けて座っていた。
「全て話してもらうわよ。」
「望み通り、全てを話すこととしよう。」
一息ついた後、閻魔は語り出した。
「簡潔に話すと、お前ら姉妹は本来ここにいるべき者ではないのだ。私が…」
その時部屋の扉が開いて、誰かが入ってきたかと思えば、それは療養しているはずの常夜であった。
「常夜?もう大丈夫なの?」
突然の出来事に慌てふためく永夜をよそに、常夜は平然と答え返した。
「もう平気、流石にこれ以上迷惑かけられないよ。それより大臣さんから話を聞いて、大急ぎで来たの。私も知りたい、私たちの過去を。何があろうと関係ない、受け止めるから。」
決意のこもった表情と声に少し気圧された閻魔だったが、すぐにまた語りを再開するのであった。
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