願いの行方と真実1
「ねぇ、容態はどうなの…?」
あまりにも突然の出来事に、永夜は酷く混乱していた。気が気でない状態であったが、臨時の病室への出入りが禁じられ部屋の前をうろうろするほかなかった。しかしそれは他の冥界の役人たちも同じであった。
「妹ちゃんが倒れたって?」
「様子はどうなんだ?何が起きたんだ?」
「というかここに医者なんているんか?」
病室には閻魔とちょうど裁きに遭っていた数名の医者達が入っていったらしい。
閻魔が出てきたところを見逃さず永夜は詰めかけた。
「あの子は大丈夫なの?」
「意識はあるが、しばらくはあまり動かない方が良いだろう」
永夜は少しホッとして胸を撫で下ろした。
「ねぇ、なんであの子はいきなり倒れたの?知ってること教えなさいよ」
疑問は積み重なっていた。普段から多少なりと体が弱いとはいえ、あそこまでいきなり倒れるのは初めてであった。加えて、そもそもここの住人に病気などは存在しない。医者が存在しないのが一例である。
そして、あの屋敷は一体何だったのか、なぜ入ろうとした瞬間……
「お前が一位を取れば、願いと別に全てを教えよう…それまでは、少し辛抱してくれんか…」
閻魔も彼なりに責任を感じており、憔悴しているのが感じ取れた。
「一位を取れったって、まだだいぶ開いているのよ?」
「あと3日ある。あまり良くはないが、少し手を貸してやろう、それで良いか?」
「ん…まぁ…わかったわよ…」
そしてまた二人は仕事の準備にかかるのだった。
なお、何故か立場が逆転しているかのような光景に、辺りにいた者たちは目を疑っていた。
「閻魔様があそこまでしゅんとすることあるんだなぁ…」
「せっかくだったから現世の『写真』とやらで撮りたかったわ〜」
「妹ちゃん大丈夫かなぁ…」
滅多に起こらないような出来事に大勢が関心を抱いていたが結局、各々はすぐ仕事に取り掛かるためそれぞれ離散していった。
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