仕事うまくいってないけどなんだか推されてます。

 静寂に包まれた大広間の高座の前に、二人は鎮座させられていた。無論、成果を報告するためである。観衆である冥界の他の役人たちが見守る中、上司にあたる閻魔王は口を開いた。


 聞こえてきたのは、罵声。


 耳をつんざくような大音が、宮殿中に響き回り、中には気絶する者もいた。

 「この人間はただ仕事で疲れ切っていた墓参りの者じゃあ!!台帳にも載っとらん!!!」

 二人は顔を見合わせ、バツの悪い顔を見せた。

 

 二人の仕事は、死にかけの人間を冥界へと的確に連れてくることである。


 「あーあ、またあの姉妹怒られてるなぁ」

 「まぁ、ここに来て日も浅いから失敗するのも無理ないけどなぁ」

 閻魔の激怒で静寂は破られた。見守っていた観衆の中から、様々な会話が飛び交い始める。

 「でも正直、あんな可愛い子たちにはこの仕事向いてないと思うぜ」

 「てか本当にの人なn…」

 「流石にそれ以上は言っちゃいけねぇ」

 役人は言ってはいけないことを言いそうになっている同僚の口に手を突っ込み、無理矢理蓋をした。

 

 「しっかしほんと見てて可愛いわ、ファンクラブ出来てもおかしくねぇよな」

 「俺は姉の永夜サマ推しだなぁ、金色の綺麗な長髪も、凛々しい立ち振る舞いも、目の輝きも、どれも者からかけ離れてる。もう全部が綺麗すぎて尊い…

「語彙力どこいったし…」

 「自分は妹の常夜様かなぁ、姉様と違って黒髪な所とか、落ち着いたところとかほぼ全部真逆なんだけど、そーいうところがにはには合ってて素敵だなぁ」

 「はぁ、一生眺めてられるわ二人とも」


 事実、二人がこの仕事についてから冥界は…だいぶ雰囲気が明るくなってしまった。

 

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