仕事うまくいってないけどなんだか推されてます。
静寂に包まれた大広間の高座の前に、二人は鎮座させられていた。無論、成果を報告するためである。観衆である冥界の他の役人たちが見守る中、上司にあたる閻魔王は口を開いた。
聞こえてきたのは、罵声。
耳をつんざくような大音が、宮殿中に響き回り、中には気絶する者もいた。
「この人間はただ仕事で疲れ切っていた墓参りの者じゃあ!!台帳にも載っとらん!!!」
二人は顔を見合わせ、バツの悪い顔を見せた。
二人の仕事は、死にかけの人間を冥界へと的確に連れてくることである。
「あーあ、またあの姉妹怒られてるなぁ」
「まぁ、ここに来て日も浅いから失敗するのも無理ないけどなぁ」
閻魔の激怒で静寂は破られた。見守っていた観衆の中から、様々な会話が飛び交い始める。
「でも正直、あんな可愛い子たちにはこの仕事向いてないと思うぜ」
「てか本当にこっち側の人なn…」
「流石にそれ以上は言っちゃいけねぇ」
役人は言ってはいけないことを言いそうになっている同僚の口に手を突っ込み、無理矢理蓋をした。
「しっかしほんと見てて可愛いわ、ファンクラブ出来てもおかしくねぇよな」
「俺は姉の永夜サマ推しだなぁ、金色の綺麗な長髪も、凛々しい立ち振る舞いも、目の輝きも、どれもここの者からかけ離れてる。もう全部が綺麗すぎて尊い…
「語彙力どこいったし…」
「自分は妹の常夜様かなぁ、姉様と違って黒髪な所とか、落ち着いたところとかほぼ全部真逆なんだけど、そーいうところがにはこの場所には合ってて素敵だなぁ」
「はぁ、一生眺めてられるわ二人とも」
事実、二人がこの仕事についてから冥界は…だいぶ雰囲気が明るくなってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます