向日葵の咲く頃⑨

「はい、回想終了ー!そこまでー!」


目の前でブンブンと手を振る現生徒会長の舞。


一緒に去年の話をしながら歩いてたら、突然取り乱しだした。


「なんでよ」


「本番のことまで思い出さなくて良いので!」


「なんでよ」


「ダメなものはダメなの!」


「別に良いじゃない」


「ノー!」


顔の前で両腕を使ってXを作り抗議する。


何がそんなに嫌なんだか。


「そこまで言うなら勝手に回想しておくわ」


「だからダメだって~」


「個人の思考は自由でしょ」


「ぐぬぬ……」


こうやって彼女を困らせるのも、今では可愛くて面白い。


こういうノリで話せるようにまで、良い関係を築けたと思う。


会長ほど仲の良い人はいないけど、今では肩肘張らずに色々な人と話せるようになった。


あの子にも手紙を書いて謝れた。


今まで遠ざけてごめんなさい、と。


あなたは何も悪くない、自分が愚かなだけだった、て。


そうしたら、まさか高校受験で私の学校に来るとは思ってなかったけどね……。


改めて蓮乃との関係がちゃんと築けたら良いな。


ううん、築いていきたい。


今日も窓から燦燦と太陽は照りつけている。


もう、私はその光に焼けることはない。


自分で手をかざして日陰を作れることに気づいたから。

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話花【咲く花舞う花巡る季節】-向日葵の見上げる頃俯く頃に- 葵冬弥(あおいとうや) @aoi108

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